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異世界救済 シナリオを変えて推しの王子様を救え!からの溺愛&どんでん返し?  作者: たかなしコとり
推しの王子様の運命の女性を救う

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第44話 畏れ多くも大公妃殿下


翌朝のお風呂の時に、リナに聞いてみる。

「結婚してからも、ここで働きたいんですって?」

「はい。もしご迷惑でなければ。」

髪を洗ってくれている。めっちゃ気持ちいい。

「迷惑なんて。とても助かっているので、それはいいんだけど、でもどうして?あなたこそ、おうちに女中がいるでしょ。」

髪を流した後、私のキスマだらけの体を、柔らかい布でそっとこすってくれる。


相当時間が経ってから、ぽつりとリナは言った。

「家にいたくないんです。」


後で、ミッテさん経由で聞いた話によると、彼女は三年ほど前に家具屋ギルドの盟主の息子と婚約したそうだ。

まあ、ここではよくある、親同士が決めた結婚。

ところが、アイドルみたいに可愛い女の子との婚約に舞い上がった相手の男が、リナを襲ったらしい。

どうせ結婚するんだから、いいじゃないか、みたいな。


もちろん、そんな振る舞いは、いくら中世とはいえ野蛮すぎる。

周りも、男の振る舞いに眉をひそめたが、まあ、婚約者同士だし、それなりに力を持つ家ということもあって、不問にした。

リナ一人が深く傷ついた。

ほぼ挨拶ぐらいしかしたことのない相手に襲われたのだから。


とはいえ、もう婚約解消はできない。

リナが襲われたことは、もう同じぐらいの階級の家には知られているし、婚家の方も、あれはリナが嫁に来る前提の行為だったとして、大目に見てもらっている経緯がある。

リナとしては、嫁に行きませんとは言えない状況なのだ。


だから、嫁には行くけども、夫のそばにはいたくない。

結婚の日取りもグズグズ延ばしているけど、もうすぐ二十歳になるので、これ以上は、という事らしい。


結構ひどい。

原作では、彼女が王家の別荘で女中をしている理由については、結婚前にお小遣いを貯めたいから、みたいな軽い理由だったと思う。

自分の結婚相手に、素敵なショールを贈りたいんだ、みたいな。


もしかして、私が話の筋を変えたせいでこうなったのか?と考えたけど、三年前に起こった事なら、元々こうだったと考えられる。

ていうか、標の君がエレーン姫との結婚を渋っていたのは、きっとリナの事情を知って、何とか出来ないかと、画策していたからかもしれない。


明るくて、可愛いリナ。

何とか助けてあげたいよね。


婚家の方は、負い目があるので、割とリナの好きにさせてくれているらしい。

ここで働いているのもそうだ。

ファルク将軍の伝手で、大公家の手伝いに、と言えば、婚家の方もダメとは言えない。普通の家の手伝いだったら、体面があるから許可できないけど、王家とかならまあ、顔が立つ。


「リナを侍女にっていうのはダメかしら。」

ミッテさんに聞いてみる。

「いいと思いますよ。ファルク将軍の縁者だし、妃殿下が気に入られたのでということなら、よくある話です。」

シースさんもうなずく。

「ネスリンお嬢さんと、立場は同じじゃないですか。お年が近い分、侍女にあうと思います。」


あー。

ネスリンは十一歳。社交界の勉強を兼ねて、侍女として連れて来たけど、今のところ使い走り程度しか仕事ができない。

私と一緒に字の練習をしているぐらいだし。せめて手紙の代筆・代読ぐらいは出来るようになってほしい。


「ただ、侍女も住み込みですからねぇ。女中は通いでもいますけど。既婚者で侍女は聞きませんね。」

とミッテさん。シースさんも、うんうんとうなずく。

だよね。そんな気がしてた。

「でも、どうしてもリナを侍女にしたいのよ。どうしたらいいかしら。」

「じゃあ、そうおっしゃったら良いじゃありませんか。今やお嬢さんも、畏れ多くも大公妃殿下ですからね。」

「ですね。リナの方が独身でよいなら、『どうしてもリナを侍女にしたい』っておっしゃったら、きっと何とかなります。」


「・・という事なんだけど、どう?」

翌朝のお風呂の時に聞いてみる。

「どうしても、あなたを侍女にしたいって、大公殿下にお願いしてもいいかしら?」

「はい!」

それはもう、食い気味の返事だった。

「結婚できなくなるけど、それでもい」

「いいです!」

いやもう、食い気味な。


リナの目がきらっきらしている。

「なんでもします。いっぱいお世話させてください。」

はい。

よろしくお願いします。


そして今度は、標の君。

「リナを私の侍女にしたいんですけど。」

標の君は、目を丸くした。

「そんなに気に入ったの?」

「気に入りました。」

「君、最初ちょっと嫌がってなかったっけ。」

だよね。


確かに、標の君を取られるかもと思って、嫌だった。

だって標の君の、運命の女性だったんだもん。

でもその運命は変わった。

「だって、あんまり可愛いんですもん。殿下が心変わりされるかもと思って、おそばに近寄らせたくなかったんです。」

「で?今は?」

標の君は、にこにこしている。


仕方ない人だなぁ。

「大丈夫だって分かりましたから。」

朝起きてチューして、夜にまたチューして抱き合って眠るまで、標の君の視界に、私以外の女性は入らない。

よくわかった。

「だから、リナを侍女にしたいんです。お願いできますか?」


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