表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界救済 シナリオを変えて推しの王子様を救え!からの溺愛&どんでん返し?  作者: たかなしコとり
推しの王子様の運命の女性を救う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/73

第43話 運命の女性


「おはようございます、妃殿下。」

朝、お風呂を入れてもらう。

一晩で色んな所がぐちょぐちょになるので、恥ずかしいけど、入らずにはいられない。

そもそもお風呂に入りたい私のために、厨房近くにお風呂場を増設してもらっている。洋式なのでちょっと使いづらいけど、ないよりずっとまし。


こっちの人は、あんまりお風呂に入らない。

大きめの盥に水をためて、入るときでも水風呂。

空気が乾燥しているから、お風呂に入らなくても気持ち悪くはならない。

でもあんまり日が経つと、ちょっと臭う。しばらくは香水でごまかして、ごまかしきれなくなったら、水風呂。

そんな感じ。


最初は抵抗あったけど、まあ、慣れた。

自分だけ清潔だったら、もう後は見ないことにしている。

でも今回、わがままを言って、お風呂を作ってもらった。


そのお風呂番を、リナはしてくれている。

水汲みとお湯を差すのは、下女がしてくれてるんだけど、その湯加減みたりとか、私の髪を洗ってくれたりとか。ありがたい。


いい子なのよねー。リナは。

気が利くし。働き者。


ファルク将軍の奥さんの姉の娘で、小麦ギルドの盟主の娘。身分は庶民。

私と一緒。

だから、ファルク将軍の養女になれば、私と同じ、大公妃としてこの地位にいることも可能だったはず。

私と違うのは、婚約者がいたかどうかだけ。


でもそれだって、本気になれば婚約破棄という手段が使えたはず。

それをしなかったということは、リナの方は、婚約破棄するほど標の君に惚れてはなかった。または婚約破棄をできない事情があった、ということになる。


前者だと、ちょっと標の君が可哀そう。

後者だと、リナも可哀そう。


あーだめだめ。今さら事情を知ったところで、どうにかできるわけでもないし。

まさか一緒に、標の君の奥様をやりませんかっていうわけにもいかない。

今はただひたすら、リナの幸せな結婚を祈るだけ。


「僕の奥さんは、今度は何を考えているの。」

夕食の後、標の君がおもしろそうに聞いた。

「あのー、シースに、タペストリーをもう少し分厚いものに代えましょう、って言われたので。」

「ああ。」

石造りの家は、声がすごく響く。

その対策として、どの部屋もカーペットやタペストリーが敷き詰めてあって、声が響かないようにしてある。普通の声なら、そんなに響かない。


ただ、もう、ちょっと、大きな声を我慢しきれない時がある。

ほんとに、もうどうしようもない。

標の君に、手加減をお願いしても

「いっぱい聞かせてやればいいじゃないか。」

とか言われて、超恥ずかしい。

結婚してから分かる、標の君の、悪趣味な一面。


後継ぎを作るのは貴族の義務とかで、うちはどのみち一代限りだし、とか思ってたけど、結局王太子に何かあった時のために、子供はやっぱり必要なんだって。

だからって、ほぼ毎日はちょっと、腰に来る。

それに、タペストリー代えましょう、なんて言われたら、声が響いてますよ、と言われてるのと同じなので、ほんと、いたたまれない。


もっともこれが王太子だと、同じ部屋の中に近衛兵だのお付きの女官だのがいるらしいので、まだマシかも。

そんなことされたら、恥ずかしくて死ねる。


「シースにまかせてもいいですか?」

聞くと、

「家の中の事は、君が好きにするといいよ。」

との返事。

最近、ぐっと大人びて、もはや美少年というより美青年。

私の理想よりは線が細いが、いい筋肉がついて、惚れ惚れする。

去年の、アバラが浮いた胸の面影はない。


毎日、領地の経営のために、元々ここを任されていた行政官と、話し込んだり出かけたりしている。忙しいはずなのに、ちゃんと剣の鍛錬も欠かさなくて、朝、その後に水浴びをしている。

それを見て女中たちが、陰できゃあきゃあ言っているのも知ってる。

お手付きを狙ってるのも知ってる。

ま、誰にも渡さないけどね。


「リナの結婚はそろそろなのでは?まだこちらで働いてもらっていて大丈夫なのでしょうか?」

結婚は通常、十八か十九で行われる。成人が十八歳で、新郎のほうが成人したら、新婦の方は少々未成人でも結婚てことになりやすい。

そしてリナは、標の君の一個上。つまり私よりも年上になる。

本当ならもう結婚していておかしくない。


「そうだね。この冬に結婚とは聞いているよ。ただ、結婚後も通いで働きたいそうだ。」

「え?」

リナは、大きな商家のお嬢さんだ。

正直、女中じゃなくて侍女でもいいぐらい。ていうかそもそも、働かなくてもいいぐらいの、いいとこのお嬢さんなのに。


「どうしてですか?」

「だめかな?」

「いいえ、そりゃ助かりますけど。嫁ぎ先のおうちは、それでいいとおっしゃってるんですか?」

「いいらしいよ。じゃ、頼んだよ。」

さらっと流された。


いいとこのお嬢さんが、新婚なのに、よそのお家で女中として働く。

うーん。

元の世界でも、家事代行業とかで働くお嬢様はいたかもしれないけど。

こっちの世界では、ほぼありえない。

標の君も、それは分かっているはず。やっぱり何か事情があるんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ