此処に残る事が出来たら、それ以上の事は
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
次も残りたいとは思ってるんですよ。
でも決めるのは、私では無いですしね。
だから縋るしかないんですが。
様々な所を転々として、遂には本家大元からも見放された様な状態になった。新しい場所でも上手くやっていけてるかと言われれば、そんな事はなく、初見で間違えを起こして相手を失望させる。という事が多かった。だからずっと、来るかも分からない仕事の復習を繰り返している。
――更新しようと思って。君的にはどう?
――はい。有難う御座います。残らせて頂けるのなら、それ以上の事は。
――じゃあ、これからはそのつもりで。
そんな会話があったのが、つい最近。余りに仕事が出来ないから、『次出来なかったら、異動させるから』という、一種の死刑宣告の様にも思えた。
けれども渡されたのは、私にも出来そうな比較的軽い仕事だった。雑用と言っても良いかも知れない。書類のコピーとか、入力作業とか、数を数える事とか、余りに周りに迷惑をかけない物。
――不満とか、あるんじゃない? 復習の成果を示したいとか、もっと技術的な事したいとか?
前に座った彼女がニヤッと口角を上げて指摘した。中々意地悪な問だと思う。でも。
――不満はないよ。全然ない。迷惑かけないなら、もうそれで良い。
そう言って、私はまたせっせと入力作業に戻った。
今、振り返って見たらあの台詞、『雑用を多く任せるけど、文句を言わないでね?』ということだったのかも知れない。でも更に深堀して考えると、別の答えも見えてきた。
誰でも出来る仕事。私に回らなくても回る仕事。だから切り捨てて、より優秀な人材がサブでやっても良い仕事。ぶっちゃけその方が遥かに効率が良い。それでもあえて私に振るのは、私をこの場所に残す為だと知った。
別にやらなくても良い、練習用の仕事を回すのも、一分にも満たない可能性に掛けているのだと薄らと気付いた。だから。
――不満は無いよ。全然ない。これで切られたら、ただ私が駄目だったというだけ。期待に応えられなかった私が悪い。だから、迷惑掛けないならそれで良い。
此処に残る事が出来たら、それ以上の事は。
もう少し上手く生きたいと思ってるんですが、難しい。
出来るのは、今より少しマシな選択をするだけです。
それも空回りして、裏目に出てる気がしますが。
でもそうなったらもう、そうなったらです。
あんまり悲観しない。
反省の伴わない悲観は苦しいだけなんで。
お上の考えている事はお上にしか分からないので、もしかしたら、『次は無い』という意味なのかも知れません。
だから彼女のやる気のブースト、説得を兼ねての解釈だと思います。
不満タラタラで仕事するよりも、やる意味を見出してやった方が良いじゃないですか。