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9月29日(土)(4日目)

 二日酔いであった。


 夏祭りから電車を乗り継いで帰ってきた後、このまま帰るのももったいないからと野郎二人で酒盛りをして、今朝方まで騒ぎ、寝て起きたらお天道様はもう落ちかけていた。起きたらひょっとこの姿はもうなく、ひょっとこのお面が文机のド真ん中に置かれていた。目立つ所に置いて「これを僕だと思って大切にしてください」とでも言いたげになのが癪に触って、そのままゴミ袋にぶち込んだ。


 二日酔いに頭痛薬を飲んでいいか悩みつつ、とりあえず空きっ腹にスポーツドリンクを流し込んだ。飲んですぐに痛みに耐えきれないと音を上げて頭痛薬を流し込んだ。痛みに震えながら、そういえば昨日日記つけていなかったと思い出し、三日坊主になるものかとしなくてもいい奮起をして、一日遅れの日記を綴った。その後、泥のようになりながら過ごし、夜中になってこうして再び日記を綴っている。


 しかし、困った。


 書くことがない。


 何もしてないからネタが無いのだ。四日目にしてネタ不足になるとは。世のエッセイ漫画家はよくもまあ毎日漫画をアップできたものだと感心する。たとえ、嘘八百だとしても毎日考えつくのは大したものである。エッセイ漫画という建前上アウトなのは否めないが。


 日記というのは己の魂を映す鏡だ。エッセイ漫画という形式でも嘘を書いたらどうなるのだろうか。一日二日程度や多少話を盛るぐらいならば塩分多めの食事程度の影響しかないだろう。もし嘘で塗り固められた日記を毎日書いたのならばきっと生活習慣病まっしぐらだ。自分に都合のいい妄想を綴り、申し訳程度のリアリティを織り交ぜた果てはきっと現実と妄想の区別がつかなくなるに違いない。己が魂に嘘をついた結果、己が魂にそれは真だと刻み込まれる。いつしかその日記は黒歴史となり、痛風の如き痛みに襲われるのだ。


 ゆえに嘘はいけない。


 しかし書くことがないのも事実。


 ならば小学生時分の時によくやった技で〆るしかない。


 今日は一日寝てました。


 完璧である。


 小学生の頃は「ゲームしてました」とか「妹と遊びました」とかで無理矢理埋めていたことを思い出した。あれは全く持って無駄な努力であった。そもそも日記というのは他人に見せないからこそ熱があるものを書けるのてはなかろうか。他人に見せる一日の出来事を綴る。それはもはやプレゼン資料であろう。


 小学生に書けるわけがないのだ。


 ましてや女子に比べ情緒の発達が遅く、遊ぶことしか考えてない馬鹿な小学生男子に。


 そりゃあ小学生みたく真水の如き中身のない日記になるか、やり過ぎて生活習慣病まっしぐらな塩分濃度の日記になるしかないというものだろう。

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