後ろ盾
「そんな…俺達の涼花ちゃんが…」
「アホ共が。まぁいいや。行こう?真理。」
「うん!凄いね…いつから気づいてたの?」
「ああいう誰にでも愛想をふりまくような娘が本当に清純なアイドルっていうのが信じられなくてね。少し調べたんだよ。そしたら出てくるでてくる。俺らに関係してこなければよかったけど…真理に手を出そうとしたから。」
「私のため…?」
「言ったでしょ?真理のためならなんだってやるってさ。」
俺はそう言いながら頭を撫でると、また真理は嬉しそうに恥ずかしそうに俯いた。
これは…本当に可能性あるんじゃないか?
「すんません。少しいいっすか?」
急に近くにいた屋台の主人が近づいてきた。さっき来てくれた私服警官と一緒に護衛の方も来ていたので、俺との間に入ってくれた。
「何者です?」
「親っさんからそこの坊ちゃんにお礼を言いたいって言付けを頼まれたんです。」
「親っさんとは誰のことですか?」
俺は護衛の彼に耳打ちした。
「広域指定暴力山若連合本部長で直参組織である龍仁会の3代目…山川辰巳総裁です。」
「そんな大物がここに!?」
「そりゃ、彼らはもともとテキ屋ですから。それに一般人に手を出さないのか龍仁会の伝統らしいじゃないですか。」
「このことは村上監理官にご報告しておきます。」
「結果も後ほど私の口からご報告します。そうお伝えください。」
「もし、何かありましたらすぐご連絡ください。」
「はぁ〜い。」
「坊主…今回はホントに世話んなった!」
凄くない?俺の前で頭下げてるこのおじさん。東海地域で最大の極道組織のトップなんだぜ?
「その様子だと、会長さんは助かったみたいですね。」
「あぁ。お前さんの助言なかったら間違いなく、命取られてただろうよ。」
「それはよかったですね。」
「それで、今回の件についてだが…」
「金とは要らないですよ。裏社会から金もらったなんて知られたら、探偵とはいえ印象ガタ落ちなんで。」
「なら、何が欲しい。」
「ん…なら、後ろ盾になってほしいです。」
「後ろ盾?」
「犯罪者には警察組織に手を借りればいいですが、一般人…暴走族とか裏社会の人間に目をつけられた時に身を守る為の後ろ盾ですよ。」
「なるほどな…俺らはどうすりゃいい。別に困ったときに連絡するんで。相手を黙らせてくれりゃいいですよ。そのかわりに何か危ない未来が見えたときにはまた事前に教えますよ。」
「みかじめ料の代わりってとこらかい?」
「そう思って頂いてもいいっすよ。それに皆さんのお姫さんも独り占めさせてもらいますんで。」
「お前さんのことはうちの親父にも伝えとくわ。とにかく今回はありがとな。」
「それじゃ失礼します。」
「おい!今日は存分に楽しんでけ。飲み食いも遊ぶのも金はいらん。俺から連絡を回しておく。」
「ありがとうございます。」
俺は彼の駅前銀座にある事務所を出ると村上さんに電話をかけた。
「冴島くん。大丈夫だったかい?」
「ええ。山若連合の龍仁会の後ろ盾を得ました。会長にも繋げてくださるとのことです。」
「…それは本当かい?」
「ええ。」
「これは、大事だよ。日本国内でも1,2を争う極道組織とつながりを持つなんて…今の警察にはできないことだ。」
「僕の価値上がりました?」
「身辺には十分に気をつけてくれ。私は警視総監へこの件の連絡と君の地元の警察署長に君の身辺警護の連絡をしておく。」
「ありがとうございます。」




