娘さんの居場所は…
「だが、今回はその限界に挑んでほしいんだ。」
「ではせめて、証拠か娘さんの直前の映像なんかがないと無理です。」
「それなら、急いで用意した。」
フォックス長官が俺の前に持ってきたのは、誘拐されている直前の娘さんの姿を写した写真だった。
「では、確認します。」
俺は、写真に集中した。すると不思議なことに娘さんがいる場所の光景が見えてきた…。
えっ?でもここって…。
「何かわかったかい?」
「娘さんがいるのは、ホワイトハウスです。間違いありません。」
「そんなバカな。どうして、誘拐犯がホワイトハウスに容易に侵入できるんだ。」
「待ってください。続きを見てみます」
娘さんは…怖がっていない?むしろ遊んでる。ならなぜ?誘拐が虚偽だった?でも、大統領は誘拐されたことを信じている。
娘さんのそばに誰かいる?黒人の軍服を着た男性。
娘さんが随分と慕っている。抱っこしている雰囲気から親戚なのだろうか…。
シェルターのような施設の入口を制服を着た男性たちが警備している。また、建物内を完全装備をした兵たちが巡回している。
近くに機密ファイルのようなものがおいてある。
ブラックファントム作戦。
そして、大統領によく似た男性の写真?
そこで見えるものは限界だった。
「何かわかったか?」
「大統領のご親戚の中で黒人の軍人はいらっしゃいますか?おそらく退役軍人だと思います。それも高官。」
「あぁ。私の義父だ。妻の父親だよ。元陸軍の大佐だ。歳を理由に引退して、今は軍学校の校長をしている。」
「彼が犯人です。」
「そんな…バカな。あの人には娘を誘拐する理由がない。」
「ブラックファントム作戦とはなんのことですか?」
「…そういうことか。」
大統領は、頭を抱えてしばらく黙り込んだ。
相当なものなんだろうな。
「確かにあの作戦はあの人にとって記憶に悪い意味で刻まれているだろうな。そして、それを恨みに思っているということか。」
「大統領…。」
「わかっている。理由がどうあれ、あの人は国家反逆罪だ。だが、ただ殺すべきではあるまい。」
「至急作戦チームを編成します。」
「相手は、戦闘を予測して準備を整えています。」
「勿論だ。ありがとう。ここまでわかれば、あとはこちらで対処する。この礼は近いうちに必ずしにくると約束する。では、失礼する。」
そう言って、大統領達は去っていった。