新任来校
バカ野郎は、無期限の出席停止となり、親戚の計らいで県内の多くの市町村の中学へ転校となった。
これまであいつの背後に隠れて威張っていた輩もピタッと静かになった。
PTAからも正式に謝罪され、一応の終結を迎えた。
俺もあんな悲劇は忘れたかったから、ちょうど良かった。俺もこれ以上掘り返したくなかった。
それからの1週間が経った頃…
ようやく新任の教師陣が到着した。なくなった担任は、数学、理科、体育の先生だった。みんないい人で学年全体をよく見れる人だった。
新任の先生のうち、数学と理科の先生は、凄い良い先生だった。前の先生以上に相談事に乗ってくれるような優しい先生だった。
だが、俺の担任になった体育教師が糞だった。
俺に最初に言った言葉が、
「お前、未来が見えるんだろ?さぁ、どれが当たるんだ?教えろ。」
そう言って、俺の肩を掴み、競馬の表を俺に見せて聞いてくるやつだった。勿論俺は、
「教えるわけ無いだろ?今日、来たばかりのあんたなんかをどうやって信じりゃ良いんだよ。っていうか、馴れ馴れしいんだよ。」
俺は、肩に置かれた手を無理やり引き剥がした。
「そんなこと言っていいのか?殺人鬼が。」
「あんたこそ、そんなこと言っていいんか?『そんなこと言っていいのか?殺人鬼が。』」
「なっ!?」
「これ、今日中に警察に持ってったらどうなるかなぁ?教師が生徒を殺人鬼呼ばわりして、脅迫したって世間にバレたら一巻の終わりだよな?」
「…」
「自分に都合が悪くなったら黙りこくるんかよ。2度と俺に話しかけんなよ。あぁ、もし今後俺の内申を無理やり下げるようなのでしたら、この音声データ直ぐに世間に公開するから覚悟しとけよ。」
俺はそう言って、馬鹿なことをいった男から離れていった。