私の言葉は本当に起きるんです。
大西さんから連絡をもらってから1週間後、俺は彼らに迎えに来て貰い、テレビスタジオに来ていた。
番組内容としては、一人の人生に影響を与えた未来予知士の能力は嘘か真か。その事実をスタジオで証明する…というものらしい。
元は、他のドキュメンタリーをメインに据えた上で、俺をサブに据えるくらいに考えていたそうだが、大西さんの実体験を聞いたこの番組のプロデューサーは、
俺をメインに据えた企画に急遽変更したそうだ。
名前は知らないけど、有名なモデルと国民的な女優、人気芸人がゲストに来ていて、有名な占い師もなぜかいた。
そしてお客さんの歓声とともに番組が始まった。
「さぁ、皆さん。本日は、未来予知ができるという中学生、冴島大貴君にスタジオに来て頂いています!大貴君。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
「さて、そもそもの疑問として、未来予知とは本当にあるものなのでしょうか?渋谷で有名な占い師である長峰薫さん。」
へぇ…この人有名な人なんだ。
「私個人としては、無いと思います。未来予知なんて正直、夢物語ですよ。彼は腕のたつ占い師だと私は思います。」
「なるほど…そう言われていますが、大貴さんはどう思われますか?」
「私としては、占い師と呼ばれても正直構いません。確実に言えることは、私の予知したことは間違いなく起きるということです。それはこの番組のキャスティングPである大西さんの実体験から分かることです。」
「確かに彼の実体験は、人の生き死にを言い当てるというものでした。彼の母親を知らない人からしたら、未来予知としか言えないかもしれません。なら、一つ予知してもらえませんか?何でもいいですよ?」
「では、あまり気持ちの良い予知ではありませんが、危険なのでお伝えします。今から30秒後に震度5の地震が発生します。それによってそちらのセット上にある照明が落下します。ですので、カメラクルーは少し移動してください。」
「…そんなこと本当に起きると言うんですか…?」
「私もこの予知は無理があると…」
「私の言葉は実際に起きます。」
私がそう言い切ったとき、大きな揺れがスタジオを襲った。カメラクルーは大急ぎでカメラを移動させた。そのすぐ後、俺の予知通り、スタジオの照明が落下した。移動していなければ大事故になっていただろう
地震が治まったとき、ある若いADが1つの事実をスタジオに齎した。
「…今の地震。震度5でした。」
「ほら言ったでしょ?僕の言葉は実際に起きるんです。」