小説家デビュー…?
事務所が開設されてから早いことで、一ヶ月が経過した。時折、依頼をこなしながら日々の中学生としての生活を楽しんでいる。
そんなとき、ふとあることが思い浮かぶ。
この力を使えば、俺は小説家になれるのではないだろうか?
将来、絶賛されている小説家の作品を盗み、俺の名前で出版すれば俺も小説家の仲間入りができるのではないだろうか。
もちろん、名前は変えないといけないが。正直、俺は一応バスケ部には所属しているが、何かスポーツをしていないと兄貴にバカにされるから仕方なくやっているだけだ。
小説家で成功できるなら、その方が良い。小説ならルックスも運動神経も関係ないからな。
ただ、なんの作品を書こう?
とりあえずは、今やってるバスケの作品でも書こうか。まずは1年後に発表される作品でバスケ作品はないだろうか…。
あるじゃん!
『N校バスケットボール部』
才能に溢れた主人公が、チーム内のいじめに耐えられず転校。転校した学校のバスケ部は雑草軍団。でも、
個性に溢れ、皆仲の良いそのチームに主人公は心が救われる。そんな彼らと日本一を目指していく物語。
これ…売れるよ。おもしろいよ!
俺は、原稿用紙に作品をコピペして書き込む。
部活と勉強の合間にやる上、綺麗な字で書くので、
完成したのは思いたってから1週間後のことであった。
俺は、その原稿用紙を玄光社とかゆう出版社に送る。
ここを選んだのは、特に理由はなく、親父が読んでいる小説がここのが多いからというだけ。
送ってから、1週間が過ぎた頃、返信が届いた。
『作品の出版について、お話がしたいのですが、お時間と場所を指定していただけませんか?』