君の言いたいことはわかるよ
「すごいだろう?」
村上さんに案内された事務所はすごい広さだった。
事務員に扮した警察関係者が20人以上いる。
「ここにいるのは、全員戦闘訓練で一定以上のスキルを持った奴らだ。加えて、護衛役として警察からは昨年引退したばかりのSATメンバー5名と自衛隊から元特戦群5名を常駐させる。」
「特戦群?」
「陸上自衛隊の精鋭部隊です。」
「化け物集団ってことでOK?」
「テログループでも軽く撚れる。」
「俺もそうですけど、真理のお母さんも働くんですけど、その点も大丈夫です?」
「1人増えても特に変わらん。」
「そ…ですか。」
「では、君にあってもらいたい人がいるんだが。」
「自衛隊関係者ってことですか?それかその大ボスとなると防衛大臣とかですか?」
「正解だ。後者だけどな。」
つまり、防衛大臣ってことか。俺、どんどん国の中枢に近づいて行ってるんだけど大丈夫だろうか…。
フロアにある大会議室に入ると窓際に白髪の老人が立っていた。老人というより一番しっくりくるのは、
老兵だった。筋肉隆々で老人と思えない。
「君が未来予知できるという大貴くんか…。」
「はい。はじめまして、冴島大貴といいます。」
「私は、現山本政権にて防衛大臣を務めている 錦川匠海という。」
「でも…村上さん。今回の話と…」
「たしかにね。君の言いたいことはわかるよ。未解決事件の解決に自衛隊がなんのつながりがあるのか。」
「はい。」
「特にないよ。彼はあくまでも政権の中で私の友人という繋がりがあったから君に合わせておこうと思っただけだ。理由はそのくらいだよ。」
「では、三億円事件の解決も意味ないのでは?既に時効が成立している場合、殺人等が事件に含まれない場合、公訴時効が成立しやすいので仮に犯人が特定できても損害請求できないし、逮捕もできないのでは?」
「たしかにね。でも、その人物をブラック・リストに載せることはできる。その人物を特定できればその人物が生きにくくすることも可能だ。」
「そうですか…。なら、真相をお伝えします。何かノートかなんかありませんか?」
「真相がわかったのか?」
「さっき、車で寝ていましたよね?」
「あぁ。」
「あのとき…過去に意識だけタイムスリップしていたんです。犯行現場から逃げる犯人の姿とその後について、またどこに金を埋めたかまで正確に報告できます。」
「では…お願いしよう。」
1時間後…
俺は俺が知りうる全ての事実を報告した。
二人は時折、う〜むとうなりながら俺の話に耳を
傾けていた。
「…ありがとう。あとはこちらで詳細について調べてみるとしよう。」
「あくまでも警察内にとどめてくださいね。過去も調べられるとわかれば、狙われる可能性も高くなるというものです。」
「そうだね。護衛の数をとりあえず増やそうか。」
「ああ。このビルには3倍の30人を配置するとしよう。装備も防弾チョッキと特殊警棒に加えて、テザー銃も各員に支給しておこう。」
「大貴くんの近辺に常駐させる護衛も増やしておくから、心配しなくていいからね。」
「じゃあ、とりあえず今日は終わりですか?」
「そうだね。家まで送るよ。」