能力に気づいた
俺がこの能力に気づいたのは、中学1年生の頃…
俺の叔父が競馬にハマっており、職員に友人がいるエクセル浜松競馬場に俺を連れて行ってくれたことがあった。
その時、俺はひと目見て大穴の馬に持ち金全部合計1万円をかけた。叔父は俺を散々馬鹿にしたが、結局俺は倍率50倍をぶち当てて50万円に増やした。
その後も、連戦連勝。気づけば俺の所持金は200万に膨れ上がっていた。
叔父は俺が賭け事の天才だと思い、叔父さんのお金を俺と折半する条件で増やしてやった。その後も暇を見つけては俺を競馬に連れ出すようになった。
通帳に常に数万円しかなかった叔父はたった数ヶ月で預金額が2,000万円に膨れ上がった。
叔父は俺の口座も作ってくれようとしたけど、俺の金は親が作ってくれた口座に入れた。
そんな証拠の残る事をしたツケはすぐに来た。
父親はすぐに気づいて俺を問い詰めたけど、俺は正直に話した。すると叔父が両親からくどくど説教を食らうことになった。
俺はその後、競馬にはいけなくなったけど、俺の手元には2,000万円もの潤沢な資金が残った。
両親も自分で稼いだ金なんだから、自分のために使えと取り上げなかった。
俺は自分のこの能力は、先を見通せる予知能力なんじゃないかと思うようになった。
ある時、テレビの取材クルーが俺の家に来た。何でも奇跡体験を題材とする番組で未来を予知する内容の放送したいらしく、実体験を持つ俺にスタジオに来てほしいそうだ。
スタジオには、人気アイドルや人気芸人もいるそうで行ってみてもいいかもしれないと思った。
そこで俺はふと、競馬以外で能力を行使してみようと思った。
「それで如何でしょうか?」
「その撮影に参加したら、俺はいくら貰えるんですか?TV.javの大西貴教さん。」
「いくら…?え…?私、自己紹介してませんよね?」
「何をそんなに驚いているんですか?俺は未来予知できるんですよ?貴方が俺に自己紹介した未来を予知しただけのこと。」
「その能力は何にでも行使できるんですか?」
「さぁ?競馬以外で使ったのは、初めてなので。」
「では、ここで一つ未来予知をしてもらえませんかね?なんでもいいので。」
「では、一つ。大西さん、あなたは今すぐお母さんが入院されている病院に向かうべきだ。今から出ても間に合うかどうかは分からないが、今から1時間後にあなたのもとに危篤の連絡が入る。ここで連絡を受けたら間に合わないが、今すぐ向かえばもしかしたら間に合うかもしれない。」
「…それは未来予知で見たのですか?」
「問答している時間ではありませんよ。私への依頼は後日でも構いません。報酬のお話と一緒にお聞かせください。」
「それは…」
「もし、私のこの予言が事実であったのであれば、信憑性のある実体験が生まれることになる。それで如何ですか?」
「…そうさせてもらいます。」
そういうと、大西さんを含めて取材クルー達は、帰っていった。
それから2時間後、大西さんから感謝の連絡が入った。ギリギリ間に合ったとのことだった。
後日、大西さんは改めて出演依頼に来た。
出演のギャランティは、なんとびっくり100万だった。
俺の能力を本物だと信じてくれたようだ。