最初の依頼は、3億円事件
それからの日々は、正直うれしかった。
嬉しそうにお弁当を届けに来る真理ちゃん。
それをいつも恨みがましく見つめる学年中の男子。
逆に微笑ましそうに見つめる女子。
その日々に待ったをかけたのは、
村上警視監だった。
ある帰り道…
俺の目の前にトヨタの高級車が止まった。
窓がゆっくりと開くとそこにいたのは村上さんだった
「随分と気味の悪い登場ですね。」
「驚かせたくてね。事務所と社員寮の準備が完了した。君のお友達のお母さんが働けるようにスペースを1人分確保してある。出勤は来週からで良いと本人にも伝えてある」
「それで、僕への要件は何です?」
「明日の朝、君の自宅に迎えに行かせるよ。」
おいおい…
次の日の朝、普段着の中でも落ち着いた装いに身を包んだ俺は自宅の前で待っていた。
すると、昨日の車と護衛車と思われるゴツい車が前後を挟んでいる。
俺の家の前に止まったその車列から、村上さんが降りてきた。
「おはよう。それでは、行こうか。」
俺は、乗り込んですぐにこの物々しい状況を尋ねてみた。
「なんで、こんな物々しい状態なんです?1台でくれば良かったのに。」
「既に君を私一人で守れる状況ではなくなってきたんだ。君にしてきた警察組織への貢献は、国も注目している。このままでは何れ、国のコマと成り果ててしまう。それを防ぐために、今日はまず私が最も信頼をおいている相手にあってもらう。」
「その人の前で事件の真相を探るってことですか?」
「ああ。」
「そういえば、今回の件に関して何か資料とかって持っていませんか?」
「ん?ちょっと待ってろ。…これだ。」
俺は資料を受け取ると写真のいくつかに目を通した。今、わかっている俺の能力は、未来予知と巻き戻しの
2つだ。今回の案件では、過去を見る必要がある。
過去なんて見れたらもう神様の所業だよな…。
そう思っているとなんだか眠くなってきた。
「どうせ1時間くらい走るから、眠いなる寝てもいいぞ。ついたら起こすからな。」
「…では…そうさせもらいます。」
「そこで俺の記憶は途絶えた。」