彼のほうが一万歩は進んでるでしょ
「お前…何で俺たちのアイドルから弁当作ってもらったんだよ…」
「別によくね。…これ美味!」
「おい!無視して食ってんじゃねぇよ。」
煩いので、昨日までのことを一通り教えてやった。
「…ってなわけで、俺はお礼として今後お弁当を作ってもらえることになったってわけ。」
「私…気づけなかった。」
めちゃくちゃ落ち込んでいるこの子は、真理の幼馴染の椿。いつも一緒にいるから余計に思うんだろう。
「まぁ、俺も未来予知しなきゃ、完全に判断はできなかったけどな。」
「でも大貴くんは、落ち込んでいることには気づいたわけでしょ?」
「そりゃ、いつも見てるからな。他の男子共みたいにアイドルって言っときながら、他の子に目移りしたりしてないからな。」
「真理ひと筋だもんね。」
「まぁね。」
「それより…俺たち全員が友達としか見られてないなんて…。告白しても玉砕するわけだ。」
「まぁ…俺はそこからは抜け出したけどな。」
「はぁ?」
「そうだね。後ろから抱きしめたわけだし。真理も嬉しいって言ってるわけだし。大貴くんにお弁当渡して恥ずかしそうにしてたってことは、そういうことでしょ。少なくとも一万歩は先に進んでるんじゃない?」