お前…それ
真理ちゃんのお母さんが入院中のため、
俺は朝、登校前に彼女を迎えに来た。
お母さんにもお願いされていたので、後ろめたさは
なく普通に部屋のインターホンを押した。
中から起きたばかりの寝ぼけた真理が出てきた。
まだ、登校には早いけど、今起きたのか?
「おはよう…。寝坊したの?」
「うん…。これから支度するから、先行ってて。」
「オッケー。俺、朝練あるからまたな。」
「ん…。あっ…お弁当いつ渡せば良い?」
「4時限目終わったら持ってきてよ。」
「ん。わかった。」
俺は期待に胸を膨らませて、登校した。
昼休みに男子共を絶望させられる。
ちなみに俺はバスケ部だ。
父親がス◯ムダンクにはまり、俺が黒◯のバスケの
アニメにハマったことで中学から始めた。
俺には兄がいるんだが、兄貴はサッカーの天才で
今は地元のJリーグチームのユースにて10番を
背負っている。まだ高1なのに。
まぁ、その弟である俺もスポーツ万能ではあり、
何でも広く浅くこなせる。その中でも一番
うまく行ったのがバスケだった。
はじめばかりだけど、感覚をつかんだことでスタメン勢には勝てないけどサブメンバーとは普通に相手に
なるようになった。
すぐにベンチ入りできるだろう。
他の1年はボール磨きや基礎練をやっているが、
俺は2年の練習に混ざっている。
午前中の授業は正直頭に入ってこなかった。
ボ〜としていても優秀な俺は、先生達も珍しそうに
見るだけで特に注意することはない。
そして…
待ちに待った時間がやってきた。
昼のチャイムが校内に響く。
ふと…バスケ部の仲間が俺のところに来た。
「おい、大貴。何してんだよ、給食取りに行くぞ。」
「わりぃな。俺今日から、弁当なんだわ。」
「は?持ってねぇじゃん。」
「いま、持ってきてくれんだよ。」
「は?誰が…」
そうこう言い合っていると、彼女が…。
「大貴…くん。これ!」
俺は顔を崩さないように気をつけながら、
クラスのドアまで歩いていき…
「ありがと。」
俺は彼女の頭を優しく撫でてお弁当を受け取った。
彼女は恥ずかしそうに自分のクラスに戻っていった。
俺は呆然としているクラスの男子を尻目に
自分の席に戻り…
「さてと…いただくとするかな。頂きま…」
「「「待てえええぇぇぇ〜!!!」」」