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宇宙のヒーローシリーズ

敵を倒すより、嫁を説得する方が難しい件

作者: 砂月ちゃん

特殊部隊の隊長を務める〈俺氏〉。

一日の激務を終えて帰宅したら、修羅場が待っていた!


勘弁してくれよ!

1日の激務を終え、ようやく6月に引っ越して来たばかりの自宅マンションに帰りついた俺。


突然、所属している防衛組織の参謀長から新しく結成された、特殊部隊の隊長に任命された為、都内から基地近くのマンションに急遽引っ越ししたのだ。


小学二年生に進級したばかりの息子や嫁には悪い事をしたと思っているが、任務上仕方のない事だ。


前の自宅では職場のある、基地は遠過ぎた。


時刻は既に24時を過ぎ、25時に近い。

流石に2人共、とっくに寝ている時間だ。


ゆっくりとドアを開け、小さな声で帰宅の挨拶をする。


俺「ただいまぁ…… 」


以前なら手探りで点けていた、玄関の灯りのスイッチをまるで視えているかの様に押す。

いや実際、俺には視えていた。


実は俺…宇宙の彼方からやって来た、ヒーローに身体を貸している。


もちろんこの事は誰にも秘密だ。


その所為か、最近は超能力が多少使える様になって来た。

今のところ無駄に夜目が利き、たまに千里眼の様な物が使えるだけだが……


便利ではあるが、ちょっとまずいかもしれない。


先日は敵組織のアジトを千里眼で探しあて、人質の救出をした。


そして今日はPC作業中…斜め後ろの席に座る部下Aが書いていた書類の誤字を仕切り越しに指摘してしまった。

本来なら態々部下の席まで行って、覗き込まなければ視えない角度だ。


素直な部下Aはその事に気づかず……


部下A「ありがとうございます隊長。」


と言って書き直していた。

偶々他の3人が席を外していたから良かったものの…そうでなかったら、不審に思われるところだった。


そんな事を考えながらリビングに入ると真っ暗い中、電気も点けずに座っている嫁をみつけた。

しかも俯いていて、雰囲気も暗い。


えぇっと、コレってどういう状況??


本当は視えているが、気づかないふりをしてリビングの電気を点ける。


俺「うわぁっ!びっくりした!!

どうしたんだ◯◯()?」


と驚いたふりをして嫁に話し掛ける。


すると嫁は泣き腫らした眼でこちらを視て、無言で向かいの席に座る様に促す。


えっ?俺何かやった??

今日は誰かの誕生日でも記念日でも無いし……


恐る恐る席に着く。

さっきは嫁の影で視えなかったがテーブルの上には自分の私用スマホがあり、嫁は何故かそれを睨みつけている。


俺「なんだ…無いと思ったら、家に忘れていたのかww

みつけてくれてありがとう。」


と態と明るく言ってみる。


幸い仕事中は防衛組織から支給されている、専用のスマホがあれば問題無い。


基地でスマホを探していた時に、親切な部下が私用スマホで探してくれたのが、ちょっと気に掛かるところだが……


嫁「おかえりなさい◯◯()さん…… 」


く、暗い…嫁がとてつもなく暗い。

そして何故、◯◯()さん呼び?


俺「た、ただいま…どうしたんだ◯◯()

泣いていた様だけど、何かあったのか?」


泣き腫らした目でコチラをギっと睨む。


えぇ~!?


嫁「今日ね…◯◯()さんのスマホに、知らない番号から電話があったの…… 」


俺「ああ…それはスマホを探す時に、同僚に頼んで何度か鳴らしてもらったから。」


昼休憩中に私用で使おうとして無い事に気づき、部下が気を使って何度かかけてくれた。


嫁「何度かかかって来てて、最後にかかって来た電話にギリギリで出れたの……

そしたら女の人の声がして、凄く楽しそうに話しているのが聴こえたわ。」


部下A~!!


???「《(◯◯()隊長)どうやら近くに無いみたいですよ。」


俺「《そうか…じゃあやっぱり、家に忘れたんだな。》」


???「《以外とおっちょこちょいなんですね♪◯◯()(隊長)」


☆()部分は聴いていなかったのと、ちょうど通話が切れたところ。


嫁「この数カ月『残業』とか『休日出勤』って言ってずっと家にいないし!

〈施設課〉ってそんなに忙しいの?


まさか浮気を!?」


俺「そんな訳ないだろ!仕事だよ、仕事!!

彼女達は職場の同僚だよ!

休憩時間だったし!」


嫁「◯◯()さんの同僚って、女性しか居ないの?」


俺「いや…偶々近くに居たのが彼女達だっただけで、男の方が多いよ。」


特殊部隊は俺を含めて、男3人女2人の5人のチームだ。


スマホを探している時、偶々近くに居たのが部下Aと部下Eだっただけ。

たまたま他の部下達は、席を外していた。


整備班も含めれば、男の方が圧倒的に多い。


嫁「信じられないわ。証拠は?」


俺「証拠と言われても、職務上の規定があって…… 」


俺が所属しているのは特殊部隊なので、その存在事態が機密事項。

その前の〈特殊機動団〉も特殊部隊で、こちらも所属している事を隠さないといけなかった。

なので家族に、組織の所属部署を偽っている。


まさかこんな事で浮気を疑われるとは!?


そもそも何故、嫁は突然そんな事を言い出したのか?


俺「とりあえず落ち着け…な…… 」


そう言ってハーブティーを淹れて渡す。

このハーブティーは先日、部下Ꭲの実家の収穫作業を手伝った時にお土産に貰ったᎢの母親の自家製だ。


嫁「このハーブティー…自家製よね。

コレ…浮気相手から貰ったんじゃないわよね?」


俺「違う、違うから!!

コレはこの前、野菜の収穫作業を手伝った、同僚の実家で貰った物だ。

この前そう言って渡しただろう?」


嫁「大きな声出さないで…息子ちゃんが起きちゃうわ。」


俺「す…すまん。

とにかく俺は不倫はしてない、信じてくれ!」


そもそも愛する家族がいる上に、特殊部隊の隊長とヒーローの二足の草鞋(わらじ)

そんな事をやっている暇など無い!


だいたい、如何してそんな話しになるんだ?


俺「◯◯()…仕事が忙しいのは本当だ。

俺が嘘をついた事があるか?

(〈施設課〉勤務じゃなくてかなり前から〈特殊機動団〉勤務。

今は更に最前線の〈特殊部隊の隊長〉なのは服務規定上秘密なのは仕方ない。)」


嫁「無い…けど、心配で……

ごめんなさいパパ。」


俺「心配掛けたのは俺も悪かった。

しかしなんで急に、そんな事を言い出したんだ?」


嫁「最近知り合った人から、パパの行動が『浮気をしている人の特徴と似てる。』っていわれて、電話の後ずっとその人に勧められた◯chとか◯chの動画サイトとか視てたら、何かそんな気がしてきちゃって…… 」


えぇ~…◯chに◯chの動画サイト?


それから30分くらい掛けて、何とか嫁の誤解を解く事に成功。

嫁の誤解を解くのが仕事の交渉よりも、こんなにたいへんだとは思わなかった。


俺「あ…あんまりそういうのに、影響されない様にな…… 」


嫁「本当にごめんなさい。」


んったく、誰だよ?

嫁に余計な事を吹き込んだ奴は!!


俺「◯◯()にそんな事吹き込んだの、誰なんだい?」


一応ダメ元で聞いてみる。


嫁「えっと近くのスーパーで知り合った、〈Kさん〉っていう人。」


ーーゲフン!ゲフン!ーー


その話しを聴いて思わず、飲んでいたハーブティーで()せた!


ケ…Kさんってまさか……


嫁「大丈夫パパ!?」


俺「だ…大丈夫だ!

それよりその人とは、まだ会ってるのか?」


恐る恐る〈Kさん〉の特長や最近会ったかを嫁に尋ねてみる。


嫁「それが最近、ぱったり見なくなって。」


俺「そ…そうか、きっと引っ越しでもしたんだろ。」


嫁「〈Kさん〉何が目的だったのかしら?」


俺「たぶんその人、動画サイトの見過ぎだったんじゃないのか?」


そう言って誤魔化し、『もう遅いから。』と言って寝る様に促す。


嫁「きっとそうね。

本当にごめんなさい疲れてるのに……

おやすみなさいパパ。」


そう言って嫁は寝室に向かって歩いて行った。


俺「おやすみママ…… 」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


1人になったリビングで、この騒動について思考する


おそらくその〈Kさん〉というのは、敵組織の女幹部Kの事だろう。


戦闘中も俺を誘惑しようとしたりするし、まったく迷惑な奴だ!

だが俺はそんな手には乗らん!!


危うくKの所為で、離婚されるところだった。

コレからは一層、嫁や息子の周りにも気をつけなければ!


俺「はぁ…疲れた。」


ドッと疲れた。

敵組織相手に戦うより疲れたかもしれない。

と、ここで俺は疲れからかテーブルに突っ伏し意識を手放した。


ーーフォンーー


意識を手放した筈の◯◯()の眼が開き、蒼く輝く。

そして何事もなく起き上がって、私用スマホのスイッチを入れ動画サイトを見始めた。


〈◯chス◯ッと総集編〉……





自分で書いといてアレですが、嫁に接触した〈Kさん〉が本当に敵組織の〈女幹部K〉だった場合、この修羅場のレポートを書いて提出しないといけない。


完全に黒歴史ですねww


つまり黒歴史が防衛組織の正式記録として永遠に残るし、他の特殊部隊メンバーにも知られる訳です。

恥ずかし過ぎる!!


俺氏の為にも〈Kさん〉が普通の地球人だと良いですねww


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