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第28話 合宿最終日

合宿も最終日を迎えた。


今日の練習試合は諏訪と同じDチームになった。


挨拶をしたが、そっけない対応をされた。


今日のチームにはゴールキーパーにトルエノ京都のレギュラーを奪い取った野々村智治、センターバックにアヴァランチ大阪のレギュラーの名田尋斗、熊本シャランジュレギュラーの蒲田未来、サイドバックに札幌リュミエールでスーパーサブとして活躍する五月雨大河、右サイドバックにJ1の大阪レオーネのレギュラーである三原信一みはらしんいちさん、ボランチに水原夢人と加藤孝さんがいる。


よく考えると、初回と同じ位の若手オールスターみたいなチームだ。


高校選手権優勝校の東新からプロ入りし、開幕からレギュラーで試合に出続ける野々村、U−15ロシア代表候補に選出された経験を持つ名田、日大工業でキャプテンを勤め、高校選手権で日大旋風を巻き起こした蒲田、元U−17代表の五月雨、全くの無名の存在から各ポジションに日本代表が揃う大阪レオーネで右サイドバックのレギュラーまでのし上がった三原さん、鳥栖で既にチームの中心となり、ゲームメイクを任せれる水原、現在J2でアシスト数が1番多い加藤さん、そして元U−17代表のエースで高校選手権の最多得点記録を塗り替えて、鹿島という数多くのタイトルを持つ名門チームに加入し、スーパーサブとして活躍する諏訪。


自分だけ場違いな気がしてしまう。


「おい、ボーっとしてんな」


蒲田に頭を叩かれた。




相手は優一さん、渡さん、山口、大槻、片岡、前田さんがいるEチームだ。


相手ボールで始まる。


山口まで下げられたボールは、左サイドの選手の足元に出された。


こちらの右サイドハーフを抜いてセンタリングを上げたが、蒲田がマークしていた前田さんに競り勝ち、ヘディングでクリアした。


蒲田は190センチの体格と高い身体能力を兼ね揃えた当たり負けないディフェンスが持ち味の対人に強くマンマーカーとして優秀なストッパーだ。


こぼれ球は名田が拾い、そのままドリブルで進む。


名田はポジショニングが良く、カバーリングに優れたセンターバックでスピードもあり、攻撃時には、どんどんと前を攻め上がりチャンスを演出する攻撃的なセンターバックだ。


名田がドリブルで進み、加藤さんにパスを出し、加藤さんが相手を背負いながらボールをキープし、右サイドに展開する。


加藤さんはボールキープが巧みで、長短正確なパスを散らすゲームメイカーだが、運動量も豊富で、攻守において貢献度が高い選手だ。


右サイドハーフの選手はトラップミスしたが、右サイドバックの三原さんが拾い、ドリブルで進む。


三原さんは状況を瞬時に判断し、より効果的なプレーを選択できるクレバーな選手で、本職はボランチだが、適応力が高く、守備的なポジションはどこでもこなすことができるユーティリティプレイヤー。


三原さんがセンタリングは優一さんにクリアされたが、前線に上がった水原が利き足の左足でボレーシュートを放つ。


攻撃のイマジネーションに溢れ、技術も高い水原は前線に飛び出すプレーが持ち味。


初回の山口、宝田と違って加藤さんも水原も攻撃的なボランチだが、加藤さんが上がれば水原が下がり、水原が上がれば加藤さん下がるという役割が出来ている。


シュートはキーパーに阻まれたが、チャンスを作った。


とはいえ、俺が関わっていないところでチャンスを作られるのはマズい。


ボールが片岡に渡る。


インターセプトを狙った名田のマークを外し、野々村と1対1になる。


ペナルティーエリア内に入り、至近距離からシュートを放ったが、野々村が見事にキャッチする。


野々村は相変わらずGKとしての要求される能力がバランスよく備え、安定したパフォーマンスを見せる。


野々村が前線にパントキックをする。


野々村のパントキックは精度、威力共にあり、その威力は相手陣のペナルティーエリア付近まで達する程だ。


ボールは諏訪に渡った。


山口と優一さんが諏訪を止めに来た。


諏訪は得意のフェイントで山口をかわすと、そのままミドルシュートを放つ。


キーパーの手をかすめ、ゴールネットを揺らす。


こちらのチームが先制したが、また俺が絡んでいないゴールだ。


今日までの紅白戦で俺はゴールどころかまだ1アシストしかしていない。


流石に焦って来る。


相手は山口を中心に攻めて来る。


相変わらずシュートは神懸かり的に下手だが、それ以外のプレーは神懸かり的に上手い。


前田さんは守備のプレイヤーと言ったが、攻撃でも十分貢献出来る。


大槻がボールを持って、五月雨との1対1に挑むが、五月雨に奪われる。


五月雨は守備に回った時のポジショニングも上手く、1対1にも強い。


こちらのチャンスだ。


五月雨が一気にオーバーラップし、相手のサイドバックを抜く。


渡さんがセンタリングを上げられないように距離を詰めるが、かわしてミドルシュートを放つ。


五月雨はセンタリングの精度に課題があるもののドリブル突破能力、左右両足から打てるミドルシュートが武器だ。


シュートはゴールネットに突き刺さった。


追加点を奪った。


俺はまたしても得点に絡むことが出来なかった。


相手は前田さんを蒲田がマークについて仕事をさせていないからかなかなかいい攻めがない。


水原や三原さんが名田のフォローをするため、片岡に渡るボールは少ない。


残り時間も少なくなった時、またしても五月雨からチャンスを作る。


サイドでボールを奪うと一気にサイドを駆け上がる。


ハーフラインを越え、そのまま自分の前のスペースにスルーパスを俺に出した。


渡さんと並走し、わずかに早く反応出来たが、渡さんにユニフォームを掴まれた。


倒れかけたが、このチャンスを逃すわけにはいかないという気持ちが俺に力を与える。


追い縋る渡さんを振りほどきながらペナルティーエリアに入る。


その分ゴールまでの角度は無くなったが、フリーになった。


あえてゴールから離れるようにドリブルすると相手ゴールキーパーが前に出た。


少しボールを浮かし、ボールと一緒にシュートを予測し倒れこんだ相手ゴールキーパーを飛び越える。


浮かせたボールをそのままシュートした。


ボールはクリアしようと伸ばした優一さんの足をかすめ、無人のゴールに転がった。


ついに俺が得点を上げた。


試合はそのまま3−0で終えた。




合宿が終わり、JFAユースカップのメンバーが発表される。


「ポジション順に呼んで行きますが、キャプテンだけ最後に呼びます。では、呼ばれた人は前に出て来て下さい」


監督がついに選考結果を告げる。


「ゴールキーパー、竹ノ内ジュリア、野々村智治。ディフェンダー、蒲田未来、木村優一、五月雨大河、名田尋斗、三原信一、渡大輝」


サイドバックの山原は入っていなかった。


「ミッドフィルダー、大槻敬太、加藤孝、木村篤也、宝田佳剛、水原夢人、山口都河士」


いよいよフォワードの番だ。


「フォワード、諏訪大輔、マイケル・仁・ジェームス、前田利樹」


マイケルも代表入りした。


残るは一枠だ。


「キャプテン、亀山俊彦」


俺の名前が呼ばれた。


と言うか一一一


「俺がキャプテン、ですか?」


「はい。高校選手権でもやっていたでしょう?」


「あれは一一」


あれはインターハイの後、俺と山原以外の3年生全員が引退したからだ。


「では、試合前にユニフォームを渡しますので一一よろしくお願いしますね」




また大変なことになりそうだ。


今回のゴールは

3点目

2009年第9節横浜対川崎 坂田大輔選手

のゴールを参考にしました。

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