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第23話初スタメン

草津戦当日を迎えた。


朝起きてすぐにいつもありがたいがちょっとイラっとさせるメールをくれる姫花流に今日の試合はスタメンだとメールで伝えた。


スタジアムは満員になりそうな雰囲気がまるでない。


試合前最後のミーティングが始まる。


「相手は4−4−2のフォーメーションだがサイドの選手がどんどんオーバーラップして攻撃に絡んでくるのが特徴だ。特にネリーノと郭友邦カク・ウバンの両サイドバックはサイドハーフをどんどん追い越して来る。この二人からのクロスをモラリスが合わせるのが一番得点が多い」


マイケルと犬飼さんがピクっと反応した。


「センターバックの二人はモラリスをきっちりケアしろ」


通訳がブエゴに訳すとブエゴが大きく頷いた。


「淳敏もな。ブエゴと息を合わせろ。お前なら出来る」


「分かりました」


淳敏の声はしっかりしている。


J初出場の重圧は苦にならないみたいだ。


「サイドハーフとサイドバックは引かずにインターセプトして裏を狙え。ボランチはサイドバックのケア。とにかくサイドの攻防で負けるな」


監督から注意が言い渡され、同時に今日の俺の仕事も言い渡される。


サイドで相手のボールを奪い、カウンターの急先鋒を担うのが今日の俺の仕事だ。


きちんとその仕事をこなしながら自分の特徴を出す‥‥


難しいだろうが、やらなきゃならない。


上手くいけば自分のプレーの幅が広がる、とポジティブに考えることにした。


マイケルを見ると珍しく何かを考えている。


「どうした? 珍しく考え込んでるな」


「珍しくだけ余計だぜ‥‥久しぶりにモラリスに会うなって思ってな」


「知り合い?」


「高校の先輩」


こいつは高校の先輩を呼び捨てにしてんのか‥‥


「そうなんですか? どんな選手ですか?」


淳敏が食いついた。


今日のマッチアップの相手である選手を調べようとしているようだ。


「これぞセンターフォワードって感じの人だったぜ。190センチくらい身長あるし、ヘディングは強いぜ。でも足は並でテクニックもブラジル人にしては並だったぜ」


いつの間にかブエゴも通訳を通して聞いていた。


「でもフリーならどこからでもシュート打って来るぜ。まぁ、だからってラインを不用意にあげるともう一人のフォワードが走って来るぜ」


マイケルのレクチャーは続く。


犬飼さんに肩を叩かれた。


「フォワードのこと聞いてもしょうがないでしょ〜」


犬飼さんが笑いながら言う。


「お前はサイドハーフとサイドバックのことを知らなきゃだよ〜」


「知ってるんですか?」


「右サイドバックは俺の大学の先輩だからね〜」


「そうなんですか? ってか日本育ちの外人が多くないですか?」


「全員そうだよ〜。左サイドバックは名古屋ユースから加入した選手だし〜」


「そうなんですか」


犬飼さんが頷き、相手の右サイドの話をする。


「相手の右サイドバックの郭友邦は1対1やヘディングの競り合いに強いよ〜。相手の左サイドハーフの大槻敬太おおつきけいたはスピードが抜群だよ〜たまに二人で攻め上がるからその裏が狙い目だよ〜」


「そこからクロスを入れる‥‥」


「でもやみくもに入れてもセンターバックの藤本降平ふじもとこうへいや守備的ミッドフィルダーの秋葉正あきばただしにクリアされるよ〜相手のゲームメイカーの後藤にボールが渡ると一気に前線まで運ばれるし、きちんと味方に合わせなきゃだよ〜。練習の時みたいに上げとけば大丈夫だよ〜」


前日、前々日の練習でセンタリング練習をしていて、その時はかなり上手くいっていた。




試合開始5分前、ロッカールームを出て、初めて入場の準備をした。


今まではベンチだったからいつも一足先にベンチにいた。


本職ではないポジションを無事こなすことが出来るだろかという不安と新しいポジションでの期待が入り交じる。


主審の合図で入場が始まった。


東京サポーターはアウェー席の隅にいる。


スタンドは隙間が目立つ。


記念撮影を終え、円陣を組み、キックオフとなる。


相手の右サイドハーフの選手が目に入る。


相手のキックオフで試合が始まった。


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