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第10話練習試合対徳島戦

キャンプ15日目。


今日のクレセール徳島との練習試合は1本30分で2本で行われる。


1本目はゴールキーパーに山下さん。


センターバックに宮原さん、角田さん、ピサロ。


守備的ミッドフィルダーにブエゴと李さん。


右サイドハーフに杉本さん、左サイドハーフに野村さん。


攻撃的ミッドフィルダーに田原さん。


フォワードにはフラビオと天野さんが入った。


試合が始まる。


最初のチャンスは開始直後、ブエゴが杉本さんにパス、杉本さんがドリプルでサイドを駆け上がり、相手ペナルティーエリアの横でセンタリングを上げる。


フラビオ、天野さんに渡らず逆サイドまで流れたが、いきなりチャンスを作った。


その後も両サイドハーフの野村さん、杉本さんの突破からチャンスを作る。


ゲームが動いたのは前半6分だった。


野村さん、杉本さんに気をとられていた相手から敵陣でボールを奪った天野さんがドリプルでペナルティーエリアに入ったところでファールで止められPKを獲得。


それをフラビオがGKが飛んだ方向と逆のゴール右上の隅に決め先制。


さらに14分にも相手ゴール近くからのスローインを天野さんがもらい相手を抜きクロス、それをフラビオが頭で決めた。


さらに27分、相手のパスをカットした李さんが蹴ったロングボールの処理を相手のDFがヘディングをミスし、後ろにそらしたボールをフラビオが拾いフリーの味方がいたがそのままドリブルでGKを抜き三点目。


最後に自陣からドリプルして来た天野さんが相手ゴール前で倒されて得たFKフリーキックを田原さんが直接決めて4−0で試合を終えた。




2本目にはメンバーと配置をがらりと変え、ゴールキーパーに松本さん。


センターバックに角田さん、新垣さん、ブエゴ。


守備的ミッドフィルダーに李さんと田原さん。


右サイドハーフに練習生、左サイドハーフに野村さん。


攻撃的ミッドフィルダーに清水さんが入り、フォワードには天野さんと俺が入る。


試合が再開された。




相手ボールから始まった。


相手は守備的ミッドフィルダーまで下げる。


俺と天野さんがプレッシャーをかける。


守備的ミッドフィルダーは右サイドハーフにロングパスを出す。


ボールをもらった右サイドハーフが野村さんを抜き、そのままドリプルでサイドを駆け上がる。


ペナルティーエリアの横に来るとクロスを上げた。


相手の長身フォワードが角田さんに競り勝ちクロスに合わせたがシュートは松本さんが右手一本で止めた。


すぐに松本さんが前線にロングパスを出す。


天野さんがそれを受け取る。


ワンタッチで相手を抜き、俺にパスを出した。


俺がワントラップして前を向くと、相手ディフェンダーは既に近くまで来ていた。


ディフェンダーとは逆の方に清水さんが立っていた。


清水さんにパスを出す。


清水さんはダイレクトで俺にスル−パスを出した。


鋭いパスに俺が合わせられず、ゴールラインをわった。


清水さんに謝ろうとして清水さんの方を見ると既に背を向けて歩いていた。


「ドンマイドンマイ!」


天野さんが逆サイドから励ましてくれた。




試合は一進一退の攻防が続いた。


2本目最初のゴールはコーナーキックからだった。


9分、清水さんがニアサイドにボールを出すと待っていたブエゴが頭で合わせゴールネットを揺らした。


得点直後に野村さんに代わって犬飼さんが入る。


すると犬飼さんがドリブルで相手をスルっと抜きチャンスを作る。


だけどクロスの精度が悪くて―――合わせる俺達の背が低いせいもあるだろうけど―――なかなか得点に結び付かない。


185センチと長身の清水さんはエリア内に入らないし、ボールを奪われても守備をしない。


代わりに俺と天野さんが守備に回る。


実質清水さんのワントップだ。


そんな中、ブエゴが田原さんからのバックパスをトラップミスし相手の長身フォワードにボールを奪われる。


1対1を難無く決められ、同点に追い付かれた。


その直後、ブエゴと田原さんに代わって植森と鳳さんが入った。


試合が再開する。


鳳さんまでボールを戻し、鳳さんが練習生にロングパスを出す。


練習生はそのままドリブルで上がり、ペナルティーエリア敵陣の真ん中辺りで、スペースに横パスを出す。


そのパスに鳳さんが反応していた。


鳳さんはそのパスをダイレクトで相手ディフェンダーの間を通す。


そこに練習生が走り込む。


ぎりぎり間に合い、ダイレクトでシュートを打つ。


シュートは勢いよくネットを揺らした。


失点直後に勝ち越した。




その後も一進一退の攻防が続いたけど、29分、スコアが動いた。


自陣で敵のパスを俺がカットし、李さんに預ける。


李さんはフリーの犬飼さんにパスを出した。


犬飼さんがドリブルで進む。途中清水さんのワンツーで相手を抜き、ペナルティーエリアの横まで行き、そこからマイナスのセンタリングを走り込んでいた俺に出す。


それをダイレクトで蹴った。


ボールは勢いよくゴールに吸い込まれた。


3−1になり、試合が終わった。




試合終了後、俺は清水さんに話をしに行った。


「清水さん」


清水さんがこっちを振り返った。


「‥‥何だよ」


機嫌が悪そうだ。


「きちんと守備して下さい」


「うっせぇよ‥‥」


「でも」


「興味ねぇんだよ‥‥甘ったれたテメェの子供じみたちゃちな目標なんざ知ったこっちゃねぇ‥‥」


いつもよりも酷い言われようだ。


清水さんが立ち上がる。


「もう俺に話し掛けるな‥‥嫌いなんだよ‥‥みたいな奴は‥‥」


そう吐き捨ててそのままどこかに行ってしまった。


「言うねぇ、お前も」


いつの間にか後ろにいた杉本さんに声をかけられた。


「生意気に見られるから気をつけろよ?」


納得いかなかったが、とりあえず頷いておいた。


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