花束を貴方へ
遠くを歩くその人へ。
きっと、いつか、どこまでも、
遠ざかる貴方のその背中へ。
花束と共に、この声を、きっと届かぬ、この声を。
受け取ってくれ、この祝辞を。
いつも僕とは違っていた、貴方の時々見せていた、
癇癪に似た自己否認、僕はそれに何度か厳しく言った。
しかし、貴方は僕よりも、いつも、いつでも先にいた。気づいていても、僕には勿論認めるだけの、器量も強さもなかったよ。
誰かが僕を省みる、そんなことはもう、無いだろう。
それでも貴方のその背中は、遠く、遠くで、輝いて。
親しみよりもずっと遠く、また理解からも程遠く、
そんな貴方を見つめたままで
僕は、その背中を追いかけるよ。
また一つ、大きくなった背中へ。
届くといいね。なんて。