最終話
雪をしのいで、太陽が顔を出した日。
ぼくはカマクラを出た。
傷はまだ完治したわけではなくて、翼を広げたらつきぃいんと痛んで、その瞬間、ママに言われたこと、お兄ちゃんに言われたことを、思い出してしまう。
でも、雪の上に、誰かほかの鳥の、小さな足跡を見つけたんだ。
ぼくは、傷を持ったまま、飛び上がった。
つきぃんつきぃんと痛んだけど、ぼくら小鳥は、群れて暖をとる生き物だから、いつまでも石の上に寝てるわけにもいかないんだ。
だからどの傷が痛んでも行くよ。
足跡を追おうとして、地上を見て、ぼくは思わず「わぁっ」と叫んでしまった。
地上は、雪が太陽光を反射して、銀色の海みたいにそこらじゅうちかちか光ってた。
ぴかぴかに磨いた小石を一面に敷いたみたいに、明るくて、ちかちかぴかぴか。
蜘蛛がいたら「ふぅおぉ」て大興奮するような光景だ。
その中に、小さな足跡が縁取りを光らせながら、林とは反対の方に続いている。
蜘蛛、ぼくね。仲間を探すことにするよ。一緒に暖をとって、足手まといにならないか考えるより先に、同族をあっためてあげるんだぁ。
蜘蛛がぼくにそうしてくれたみたいに。
(ぼくは世界を救いに行く)
蜘蛛の言葉と、笑顔を、背中の傷の反対側に抱えてるよ。思い出せる。
『あんたの世界が 明るかったらーーーーーーーーーーーー
shiningoveryou fin.