"堅牢"
誤字違和感希望ありましたら教えて頂きたいです。
北米を"魔王"が占領して数日後…
アフリカでは、奇妙な痕跡が発見されていた。
具体的には何かを引きずったような、幅500mほどの線だ。
その痕跡周辺には巨大な鉱石の原石(ダイヤモンドやルビー等)、そして未知の透明な鉱石も存在した。
北米を"魔王"が襲撃した直後ということもあり、アフリカの政府はその痕跡を調査…しなかった。
2943年に分割されアフリカは日本の都道府県ほどの大きさで"国"と主張する小国が増えその鉱石の配分を奪い合う醜い始末だった。
そもそも北米のことを知らなかったのもあるが。
そうした一種即発な状況で、アフリカを赤道をなぞるようにして通る痕跡が2500kmを超えた頃、痕跡の正体が発覚した。
ナマコだった。
高さ1000m、幅500m、長さ300mのダイヤモンドに目と|ω(口)を付けただけのモノ。
それがのっそりとした動きで悠々と歩いて(?)いた。
それを見つけた時の政府共と言ったら…
「あの巨大なダイヤは我々の国にいる!我々の物だ!」
「いいや!境界線上にいるのだから我々が!」
「そもそも我々の国を通って…」
「いや━━
「しかし━━
…と、それぞれが自分の物と主張し、会議は踊る、されど進まずといった様子であった。
そんな中、強硬手段に出た国が一つ。
それが、アフリカ大陸東を纏める国【ロウスト】。
【ロウスト】は自国に迫りくるナマコに対し、まずは適当なミサイルを撃ち込んだ。
だが、それを無視して進むナマコに怒りを覚え、当時の最高威力を誇る水爆"relief"を投下した。
"relief"の威力はすさまじく、流石南アフリカ共和国を滅ぼす原因となった水爆、といったところだ。
まずそこには何も残らない。
爆心地は大きなクレーターが残り、まさしくこの世の終わりというのが正しい例えと言われるほどである。
そんな"relief"を投下すればナマコだけでなく周辺国も大きな被害が出るのだが、そんなの気にしないのが【ロウスト】政府。
結果ナマコを観測していた者、その道をたどって鉱石を拾っていた者、"relief"を落としたパイロット、その他周辺国の人々etc...
多くの人を犠牲にした意地っ張りだったが、ついにそのナマコに傷を付けることは叶わなかった。
そんなナマコの報告を受けた国連は"魔王"に次ぐ自然災害━━
”災害級ナマコ”としてそのナマコを"堅塁"と名付けられた。
…そんな"堅塁"の通り道にて、一人の男がいた。
男はダイヤやルビー等の宝石類ではなく、少し靭性の高い黒曜石のような石のみを拾い、満足そうな顔をしていた。