"魔王"
プロローグでは主人公は出ません。
世界観の説明のための話です。
そして、ナマコ要素盛沢山です。
この小説にはナマコニウムが含まれています。
それでも、読んでいただけるととても喜ばしい限りです。
誤字違和感希望ありましたら教えて頂きたいです。
2XXX年、環境問題は劇的に解決した。
再利用可能エネルギーの開発が進み、昔のように発電による有害物質の発生や資源の消費といった問題が解決した。
各国が外来種を駆除し、正しい食物連鎖へと修正された。
植林が進みオゾン層の修復もされ、全ての環境が"完璧"と言われる時代となった。
それが、間違いだったことを人類が知るのは幾つもの月日が過ぎた後である…
3150年、北米にてある生物が大量発生した。
ナマコである。
大事なことなのでもう一度言おう。
ナ マ コ である。
自然の増加や環境の改善により、海の栄養素が豊富になった。
正確にはナマコが食する有機物が増加し、何故かナマコだけが進化したのだ。
はじまりは砂浜に大量のナマコが居ただけであった。
しかし、数日後には大型犬ほどもあるナマコが街に侵入し、政府は対応に追われた。
そのナマコは特殊んば粘液で覆われており銃弾は逸れ刃物は滑る天然の鎧、ともいうべき物だった。
榴弾によって傷を付ければ何とかなることからまずは北米で初の対ナマコ兵器【Exploding Bom Ⅰ】が開発された。
ちなみに日本語訳【ポン太1号】である。
これを使い北米はナマコの脅威を退けた…かに見えた。
だが、数日後にその北米…北アメリカ大陸はナマコによって占領された。
陸上に出てきた大型犬程のナマコ(後に獣級ナマコと呼ばれるもの)は時折様々な生命体の能力を持っていたが、人類の脅威となるには知性と能力が足りなかった。
ならば、それを持ちうるものがいたとしたら?
獣級ナマコを殲滅した北米はあちこちお祝いムードで騒いでいた。
そんななかロッキー山脈近場の街との連絡が途絶え、原因解明のためヘリを飛ばした。
そこにいたのは、一般的な校舎1つ分程もあるナマコ、それも大量である。
すぐさまヘリの操縦者はナマコへと【Exploding Bom Ⅰ】を撃ち込んだが、何の成果も得られなかった。
この大きさのナマコは皮膚が厚すぎて鉄の破片など利かなかったのだ。
それを確認した操縦士は政府を中継を繋ぎ、その後帰還しようとした。
だが、中継を繋いだ政府側のテレビに写されたのは操縦士が火だるまになってのたうち回り、ヘリが落ちる瞬間だった。
それを見た政府は戦闘機を複数送り、多くの情報を得て帰ることを命じた。
今度は遠くから中継を繋ぐことであの炎の原因を探ろうとした。
そして、それは割とすぐに判明した。
政府の予測はヘリへと粘液を飛ばしただの火を噴いたナマコがいただのオカルトな予測が飛び交っていた。が、事実はそれを軽く超えていた。
戦闘機の一台が撃ったAGM-154 JSOW (北米で使用されているミサイルの一種)が、ナマコに命中…しなかったのだ。
確実に当たるコースだったミサイルの前に複雑な数字と記号の羅列を複数の層の円で描いた半透明な壁が現れたのだ。
その後、その壁に命中したミサイルは爆発、しかしナマコには無傷だった。
これに驚いた操縦者はデータ確保のためにもう一度撃とうとしたが、それより早く巨大なナマコから火の玉が飛んできた。
その火の玉は戦闘機の走行を貫き操縦者を黒焦げにしてしまった。
他にも火の玉を打ち出す以外に、氷を刃のようにして大量に打ち出したり雷が飛んできたりしていたので、政府はこれを"魔法"と呼ぶことにした。
原理は不明。対抗策も無し。今出来ることは他国へとこの映像を送ることくらいだった。
しかし、送る直前に政府…いや、見た者全てを絶望させる映像があった。
巨大なナマコが戦闘機に魔法をとばしたり草を食べていたりだったのだが、その後ろの山脈を超えるように"それ"は現れた。
美しい曲線の体に、頭(?)に3本の棘が生え体にも所々突起が見られる黒くて大きいナマコ。
映像から推測される大きさは高さ2000m、幅1000m、長さ6000mのナマコ。
それを知った人々はそのナマコをこう呼んだ
“魔王”
と━━━…