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はじめまして、引きこもりです

働いている方、リスペクトです。

言い返す権利はありませんが、どうかなじらないで下さい。


「小説書いてよー」


「んー」


おねーやんから飛んできた、いつもの言葉に私は生返事を返しました。


「絶対に才能あるんだからさー、がっぽり稼いで来て」


東京に引っ越ししてきて、もう何度目のやり取りであります。




はじめまして、この話の主軸を担うひきこもり女です。


声はデカイですが、自信を持って名乗れるほどの社会的諸々を持っていないので、名無しの通行人Aで行かせていただきます。


ひきこもりなので気軽にヒッキーとでも呼んでおいてください。


一人称は私と書いてあたしです。


わがままで我が強い奴です、が突かれると軽く気絶するくらいのチキンでもあります。


家庭環境、学校、人間関係その他が影響して軽い精神障害です。


時々、いろいろなことが暴走しますご注意を。


主に私の生活実態、趣味趣向を書いていくので他人との交流の話は出来るだけカットしていきます。ひきこもりですから。


破綻している家族構成を簡単に説明。


母は旅立ちました、父は存在しません。


いるのは、私、兄者、おねーやん、オババ。


適当につけた名前です。因みに私は一人っ子、意味不明ですね。ふふふ。


そしておネコたち。


E、K、A、Gです。


一人で生きていくこともままならないのに4匹もネコを飼った私は愚か者~。あは。


そして当時来ていたヘルパーさんの余計な一言。


「猫を飼ってる女の人は婚期が遅れるんだって」


はいはい、大きなお世話です。


100キロ越えのデブです。恋人なんていた事もないです。誰かこのいらない脂肪たっぷりの肉、買ってくださいな。


ふん、いらないよね。


イタイ女の夢、それは魔法使いになることです。


・・・嘘です。


それは子供のころの夢です。


作家になることが夢です。


なのに1日の大半を惰眠に費やすバカ者です。


ですがそんな私にも転機がやって来ました。


引っ越しです。




長年住んでいた田舎に兄者が帰省してきました。


そして一言。


「この度、わが社、倒産いたしました」


「あっそう」


こんなやり取りでした。驚かない私に兄者は驚いていましたが、変な予感があったのです。異様に早い時期の帰省に長い休み、おねーやんからの電話の内容。


ということで兄者、無職になりました。


そして予てからの計画を実行で、バラバラ一家全員集合です。


しかも大都会、東京に。(嗚呼~、はてしない~)


荷造りから、片付けやら何やかんやでてんてこ舞いでした。


過程は端折ります。


バッサリいきます。


理由、面白く無いから。(思い出したくもない)


田舎での暮らしはヒマでした。


ろくに学校も行かず、働きもしない。(何もしないで何してるんだろ?)


引っ越し作業は戦いの日々でしたが、上京してきてからと言って何か劇的に私に変化があるわけでも、もちろん無く・・・。


不平不満を持て余しながら何もしないという自己矛盾を解決できないでいる時間が約2年ほど続いていた、そんな日でした。


何気ない小さな一歩がやって来たのは。




6月下旬のある暑い昼。


「小説は?」


「んー」


ここまではいつものやり取りでした。


「こんな広告、新聞にあったんだけど」


―「衣食住」をテーマに小説を募集―


「面白そうじゃない?食べ物の話ならあんたでも書けるでしょ?」


「でも、生活に根差したって書いてあるよ?私、こう見えても立派な引きこさんなんだけど」


「別にやっても損は無いでしょ」


「うーん」


普段、書いているのは詩やファンタジー小説など、あとは猫のエッセイとか。食べ物が主体の小説は好きだし良く読むけれど、私に書けるのか?


生活に根差したということはある程度、生活感があって一定の人たちに共感を得るような話じゃなければいけないんじゃないだろうか?プラス、ほろっと来るような良い話とかもありきで・・・。


そこまで考えて私の頭はショートした。


引きこもりの私には現実味の無い浮世離れした話か、苦心惨憺の日常エッセイくらいしか書けやしない。きっとこの広告の向こうにいる人たちはそんなものは求めていないだろう。




でも、作家になりたい。




この夢は捨てられない。


それに幸か不幸か私の趣味は料理。


フライパン片手に文字を食べる、なんて語るくらい私は文字と食べることを愛している。一つの勉強ということでこの募集に参加することはアリだろうか?


「難しく考える必要ないよ、面白くなければ通らない。これ世の常だから」


「ダメで元々かな?」




不謹慎な願いをどうかお許しください。




そうして私は今、この物語を完成させるべくパソコンと睨めっこしているのである。


考えあぐねた結果、架空のストーリーは止めにした。生きていること自体に現実味が無い私に生活感のある人物設定が出来るわけもなかった。残るは苦心惨憺の日常エッセイ風、だけどそれだけじゃ面白くない。いっその事、この四苦八苦な執筆状況を実況するのはどうだろうか?


ということで「食」というおぼろげなテーマを掲げ、この話のスタンスは決まったのであります。


矜持をしまって未来を創れ、なんて尊大な座右の銘を握りしめていた時期もありましたが、千里の道も一歩から、持続は力なり。


目指すはサクッと読めて笑える話。


万年寝太郎の引きこもりの日常をご賞味あれ。


常温でも可ですが、できれば冷蔵庫で保管してください。暑い所が苦手です。


何かあったとしてもおなかを壊す程度です。


苦情は受け付けますが、味は保証外ですので。


ネタばらしです。

これがここに書かれているということは、つまりは単純にいうと間に合わなかったんですよ。


バカ野郎な日々を送る、引きこもりです。


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