表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/32

宇宙から還りし王第3回「リーファーだよな」 ケインは呼びかける 「俺だ」リーファーの顔と、「始祖鳥の体」を持つ生物は「ここを立ち去れ」と警告する。

宇宙から還りし王(山稜王改題)第3回

(1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 マンガ家になる塾」


 羽音がする。すでにまわりは霧に包まれていて、目の前の山壁し

かケインの眼にははいっていない。

 飛行体。一体何だ。鳥がこの壁に巣でも作っているとでもいうの

か。

 巨大な物体が、ケインの頭上を通りすぎた。空気の振動がケイン

の体に伝わってきた。


 『ケイン、ここから立ち去れ、お前の目的はわかっているぞ』

 ケインの心の中に、直接、声が響いてきた。さらに心の声は続け

る。

 『俺は警告しているのだ。これ以上、もう登るな、これ以上登れば、

俺もお前も、もう後もどりはできない』


その心の声にケインは記憶から何かを思いおこさせた。

 「お前はりーファーじゃないのか」


 思わずケインは羽音のした方へ叫んでいた。

 「お前生きていたのか」

 再び、羽音と空気振動がケインの体に近づいてくるのがわかった。

 

『ケイン、俺の今の姿を見せてやろう、そうすれば、お前も、考え

直すだろう』

 翼の音が壁の上の方で止まった。ひたひたと垂直な壁をすべるよ

うに何かが降りてくるのが、ケインに感じられた。


 「ケイン」


 そいつは霧の中から姿を現わし、ケインに話しかけた。ケインは

思わずロープから手を離しそうになる。この化物は。本当にりーフ

ァーなのか。

 「リーファー、お前か」

 「そうだ、俺だよ」

 そいつはりーファーの顔と、「始祖鳥の体」を持っていた。

 そいつは言った。

 「ケイン、悪い事はいわん、戻れ。これは友人としての意識が戻っ

ている俺の、最後の警告だ。俺というりIファーの意識がなくなれ

ば、俺の体は勝手に動き、お前を地面にたたき落さなければならん」

4心

 「リーファー、一体、何なのだ。どうしたのだ」

 リーファーの顔を持つそやつは、答えず、羽音をたてて急に飛び

去っていく。

 ケインは、しばらく、呆然として、その壁の上で動かないでいた。

(続く)

■宇宙から還りし王(山稜王改題)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所 「マンガ家になる塾」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ