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宇宙から還りし王第26回■恒星タンホイザーゲイトの中央部に存在するホール から音が響びていてくるようにアンバサダー号乗組み員には感じられた。その中へ探査艇が進む。

宇宙から還りし王(山稜王改題)第26回■

(1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


 その恒星の中心部から音が聞こえていた。

宇宙空間だが、音がアンバサダー号の内に鳴り響いていた。がそれは音でありえない。


乗組み員の心の中に感じられるらしい。


 「ロバート、この音は」宇宙文明学者のマーガレットが聞く。

 

「まるでタンホイザーの曲の様に聞こえるが、空気振動ではない」

ネイサンは答える。


 「というと何なのかしら」マーガレットは再びネイサンに尋ねた。


 「わからんが、何か脳の音感域を刺激する何かが発せられている様

だ」


 恒星タンホイザーゲイトの中央部に存在するホールは光の投下をこばむ。

ホールの中はこちら側の宇宙に属していない様に、探査艇乗組み員のポールとナノウ2人に

は思えた。


ホールの直径は2Kmくらいだろう。二人の頭の中に、そ

の音は響いていた。その音は、そのホール内部から来ているような

のだ。


 ホールの中にポールとナノウの探査艇を進めていく。


 「暗いなポール」ナノウが叫んでいた。

 「OK、サーチライトをつけろ」


 「何か、内壁に見える」

 「少し、一方の壁に近づけてみる」

 サーチライトの中に浮びあがってきた内壁は地球人の理解を越え

ていた。


「こ、こいつは」というがはやいか、ボールはせまい艇内で、はき

始めていた。

 『もう少し、カメラをズームしろ』ワイラー船長の声がモニターの中

からどなっている。


 が、やはり思っていた通りの光景だ。


ホール内面全部が死体の山だった。


腐敗しかけだ死体やまだ勤めく胴体、あきらかに人類以外

の宇宙人の死体が山の様になって内面壁に付着し勤めいている。


その動きは人間の大腸のぜん勤をおもわせた。


 「ここは」

ナノウは、不思議な光景を見て、もう普通の神経をし

ていない。


 ホールの中央部にやがて光点が見えた。


 「その光点へ向かえ」ワイラーが命令している。

しかし、探査艇の安全機構は警告音をあげていた。


 「安全ラインをもう越えています」

 「かまわん、君達が、そのホールに飲み込まれようとも、映像は、

確実に人類に届ける」

アンバサダー号船長ワイラーもわめいている。彼もまた狂っている。


 「我々を何だと思っているんだ、ナノウ、船を戻せ」

ポールが叫んでいた。


(続く)

■宇宙から還りし王(山稜王改題)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

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