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私が見た夢

可愛い妻

作者: 東亭和子

前作、見知らぬ夫とリンクしています。

 こんな夢を見た。


 私は一人の男であった。

 祖父の遺言で結婚することが決まっていた。

 見ず知らずの相手との結婚は当たり前の世の中だった。

 結婚したら家を継がなければいけない。

 その前に自由な時間を使って旅に出た。

 結局、結婚式には間に合わなかった。

 旅の後、実家へ帰り指輪をもらう。

「まったくお前は。

 先方に失礼でしょう!

 恥をかいたわ」

「…悪かったと思っているよ」

 なじる母から逃げた。


 そうして見知らぬ妻に会いに行った。

 妻は怒っていた。

 まぁ、当たり前だ。

 式にもいない夫を受け入れられるはずがない。

 だが自分より幼い妻は可愛らしかった。

 からかうと面白い。

 コロコロと表情が変わる。

 毎日が退屈しなかった。

 これならうまくやっていけるかもしれない、そう思った。

 

 仕事が終わらず夜遅くに帰宅した。

 家は明かりが消えていて真っ暗だった。

「ベッドは私のもの」

 そう言い張る妻に譲って、いつも布団で寝ている。

 寝室をのぞくと気持ちよさそうに妻は寝ていた。

 こうして妻の寝顔を見るのが最近の楽しみになった。

 まったく無邪気な顔だ。

 安らかな寝息に寄り添いたくなった。

 たまにはいいだろう、そう思って妻のベッドに潜り込む。

 明日目覚めたら騒ぐだろうな、と考えていたらいつの間にか眠っていた。


「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

 うるさい。

 朝から耳元で叫ばないでほしい。

「何だよ?」

「何じゃない!

 何でベッドで寝ているの?

 あなたは布団でしょう!」

 …昨日は遅かったんだからもう少し寝ていたいのに。

 妻はぎゃあぎゃあ騒いでいる。

 だから妻の腕をつかんで抱き寄せた。

「ちょっと、何するの!?」

「いいから大人しくして。

 今日はお休みなんだからもう少し寝たいんだよ」

 しばらく腕の中で暴れる妻を抱きしめていたが、諦めたのか大人しくなった。

 ほっとして少し腕の力を緩めた。


「…お疲れ様」

 小さなささやきを聞いて頬を緩める。

 まったく素直じゃないな。

「ああ、疲れているんだ。

 だから慰めてくれよ」

 そっと妻の額に口づける。

 真っ赤になった顔を見て笑った。

「また馬鹿にして!

 もう放して!!」

「ダメだよ。

 今日はこのまま一緒に寝るんだ」

 そうしてまた暴れる妻を抱きしめる。

 君とならこれからもうまく生きてゆける、そう思った。


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