3つばかり隣の宇宙
アトが投げたのは日本の警察が持ってるあの小さな銃だ。
『何これ? アトさん日本の警察からパクったの?』
『それはエピゴノスの遠距離攻撃用のトリガーだ、オマエが馴染み易くなるようにその型にしておいた』
アトさん変な気が利くな……
『テレビとかでよく見るけど銃なんて撃ったこと無いぞ、ど、どう持つのよこれ?』
銃なんか撃ったこと無いから持ち方すら全然分からん。
『こう左手で包みこむように持つんだ』
なんかアトさん持ち方まで親切丁寧に教えてくれるのね。
『まあ、外れても良いから適当に撃ちまくれ』
『へ? 外れても良いの?』
『ああ』
『ところで、どう狙うのよこれ?』
『モニターに映るオデッセウスを狙えばいい、とりあえず撃ちまくれ』
『わ、分かった』
とりあえず銃を構えてモニターの中、逃げてゆくオデッセウスに狙いをつける、こんな短い銃で当たるのかね……
『いくぞ!』
『ああ』
トリガーを引く。
―――ドウッ!!!!!―――
『ひっ!』
モニターに映るエピゴノスはでかいライフルみたいな銃を構えている、そのライフルからエネルギーが撃ち出された。
巨大なエネルギー波はオデッセウスからかなり離れたところに向かって飛ぶ。
『何か撃ち出してきたぞ!』
『避けろ! ペネロペ!』
しかしこの柱神同士の戦闘って、ある程度近づくと勝手に通信しちゃうからモニター越しに相手に会話筒抜けなんだよな、なんでこんなシステムなんだろ?
『アトさん! やっぱ全然当たらんよ!』
『いいから撃ちまくれ』
『りょ、了解!』
ガチガチガチガチ、トリガーを引きまくる。
―――ドドドドドドドドドッドド!!!―――
エピゴノスのライフルからエネルギーが次々と撃ち出されるがやっぱり全然当たらない。
『アトさんやっぱ全然当たらん! アト?』
いつのまにかアトが隣に居ない。
『あれ? アト?』
『はははは、あいつ射撃は下手だな、この調子なら次弾装填も可能だぞ!』
『そうはさせんよ』
『!?』
『アト!』
モニターの中、オデッセウスのすぐ隣にアトが現れた。
『なっ!?』
『オデッセウスとやらオマエにも迷惑をかけた、すまんな、行くがいい星の彼方へ』
ドッ!!!!
アトが手のひらからエネルギーを放つとオデッセウスは機体ごと消えてしまった。
『全く、本当に気分が悪い』
アトは自分の隣に帰ってきた。
『なんだよアト、俺の射撃は囮かよ、というか生身でオデッセウス倒しちまうなんてエピゴノスいらないじゃねーーか』
『エピゴノスも含めての囮だから意味はあるさ』
しかし今回も俺はオデッセウスとの戦いなんもしとらんな、我ながら。
『そういえば、そのチョーカーみたいのは何なのよ』
『これか? 後ろの螺旋階段をここに移したんだよ』
『螺旋階段?』
振り返って見ると確かにいつもの場所に螺旋階段が無い!!!
『あの攻撃を受け流す為、ここに螺旋階段を移す時間を稼がないといかんし、オデッセウスが放ったエネルギーを上手く漏れないように処理しないと余波でオマエが死ぬし、ああ見えて結構大変だったんだぞ』
そうか、アトさんああやってアッサリ処理してるように見えて結構大変なんだね、すまんね。
『ところでオデッセウスだけど死んだのか?』
『いや、記憶をリセットして3つばかり隣の宇宙に吹き飛ばした、もうこちらに何か仕掛けてくることは無いだろう』
『3つばかり隣の宇宙って……よく分からんが……』
オデッセウスが死んでないと聞いてなんだか少しホッとした、人が死ぬのはなんだかんだで嫌だ。
『さて、邪魔が入ったけど地球に戻るか、ミコトさんも助けなきゃいけないし、申し訳ないけどアトさん空間転移でパッパッとよろしくお願いします』
『いや、あれはかなり疲れるので飛んで行く、オマエが飛ばすんだ』
『そうなの? 最大に急いでどれくらいで地球に戻れるのよ?』
『15分くらいか』
15分か……アトも休まなきゃいかんししょうがないか。
『それじゃ飛んで行きますか』
俺はエピゴノスを地球に向けて加速させた。




