小さな銀河
オデッセウスの機体を囲む光輪のスピードがさらに上がる!
オデッセウスの光はもう直視出来ない程だ。
『くらえ! 間男の弓!!!』
オデッセウスから矢が放たれる!
『アトさん! 避け!!』
そうアトに告げた瞬間、すでにアトの首には光る矢が刺さっていた。
『アト!!!』
矢はアトの首に刺さったまま鉄格子のコントロールルームの壁にアトを叩きつける。
『アト!!! なんだ!?』
よく見るとアトを壁に叩きつけているが、矢がアトには刺さっていない。
あれは? アトの首のチョーカーのさらにその中。
黒いチョーカーの中で何かが渦を巻いている、キラキラと光る小さな銀河みたいなものが渦を巻いている。
『なっ!?』
チョーカーの中にある小さな銀河はオデッセウスの放った矢を全て吸い込んでしまった。
『は?』
『え?』
アトは壁からストンと降りると首の辺りをさすっている。
『なんだ?』
『馬鹿な、あのエネルギーを受けて無傷だと……』
アトは首をさすり終えるとオデッセウスを睨み付ける。
『絶対に避けられない必中の矢なんだろ? まあ耐えるか吸収するしかないわな』
『た、た、耐える、きゅ、吸収だと? そんなこと出来る筈が無いだろ!!!』
『出来るさ、完璧に相手の攻撃がくるタイミングと場所が分かればな』
『それこそ完璧な予想なんて無理だろが!!!』
オデッセウスが叫んだと同時に両腕に印が浮かぶ。
『!??????』
『前回お前の両腕を吹き飛ばしたときにな、仕込んでおいたのさ』
『なっ、馬鹿な! 全くそんな反応は無かったぞ!』
『私がタダでオマエを帰すと思ったのか? 甘いな、オマエの身体はあの時から既にオマエの物じゃないのさ』
アトは鷹の様な目つきでオデッセウスを睨んだ。
『くっ! ペネロペ! 次弾装填だ!』
『無理だ! 少なくとも10分はかかる!』
『時間は俺が稼ぐ!』
オデッセウスはエピゴノスと距離をとる。
あいつ、もう一発撃つつもりか。
『おい、オマエ、これを持て』
アトが何かこちらに投げた。
『なんだこれ? 銃か?』