ソーニャのアホーーーー!!!
『こら! ペトロ! おまえ何やってるんだよ!!!』
『おお!! この声は! ソーニャさんか?』
『ふっ、ソーニャか遅いな』
『なーーにが、ふっ、遅いなだにゃ!!!』
モニターにソーニャさんの映像と新たに現れた柱神が映る、あの柱神にはソーニャさんが乗っているみたいだ、助かった。
しかしソーニャさんの柱神は変わった得物を持っている。
尻尾と背びれの形や全身のフォルムから察するにあれはイルカだろうか?
イルカの形をした竪琴の様な物を持っている。
『アポロニオスとオルフェウスの竪琴か、その機体は厄介だな』
『そうにゃ! デウッサーデとて防げはしないオルフェウスの竪琴! 食らいたく無ければ降参するにゃ!』
『フフフフッ、どうぞ、どうぞ、存分に奏でるが良い、良い音色を響かせよ』
『なっ、何ーー!!! 何でそんな余裕あるにゃーーー!?』
どうやらソーニャさんが攻撃を仕掛けようとしてるみたいだがペトロさんは余裕しゃくしゃく、何かしら策でもあるのか?
『うううう、ならばそのまま魔の音色に彷徨い冥府へと下るがいいにゃ!!! 喰らえ!!! マイナデス!!!』
ソーニャさんの柱神アポロニオスが竪琴を奏でる。
何だこれは?
景色がアポロニオスが視界から消える、いや沢山にも見える、なんだ、上手く視界と意識が定まらない、天も地も無いまるで方向感覚が定まらない。
『さあ、ペトロ、おまえにはアポロニオスの位置はおろか自身の方向感覚も無い、これで終わりにゃ!!!』
うううう、この攻撃はキツイ、とても戦闘どころでは無い、うう、吐き気が、ペトロさんも俺と同じ状態なのだろう、ソーニャさんはトドメを刺すみたいだ、というか俺まで効いてるんですけどソーニャさん……ぐえーーー。
『せめて痛みの無い矢で終わらせてやるにゃ!!!』
ドウッ!!!!!!!
ソーニャさんから何かが放たれる。
視界も方向感覚も無いから何が起きてるのか全然分からん。
『ふっ、甘いな、そこだ!!! ソーニャ!!!』
『何!!!!!!!』
―――ザンッ!!!―――
何だ? 視界と方向感覚が元に戻って……
ゆっくりと視界がクリアになっていく、そこに映っていたのはデウッサーデの槍に貫かれたアポロニオスだった。
『ば、馬鹿にゃ!! 何故アポロニオスの位置が?』
『ふっ、ソーニャ、無花果のチーズは美味かったか?』
『なっ、何故私が試食の無花果チーズを沢山食べたことを!! ま、まさか!!!』
『そうだ、おまえの技は厄介だからな、市場に罠を張って目印を仕込んでおいたのよ、おまえは試食のチーズに目が無いからな、案の定バクバク食べおったわ』
『くそ、あの売店のおばちゃん、買収されていたとは!!』
『ソーニャさん!!!』
デウッサーデに槍で貫かれたアポロニオスは地上へと落下してゆく。
『ああああ、スマン、ミコにゃん、やられたニャーー(=^x^=)』
『ああああ、ソーニャ! なんでもかんでも口に放り込むから!』
ヒュルルルルーーーなんて音を立てながらソーニャさんは落ちていった。
『ふう、これでソーニャはなんとかなったな、正直、12使徒の中で一番厄介な存在だったからな』
ペトロさんは落ちてゆくソーニャを見ながら呟いた。
しかしまさかさっきの市場に罠が仕掛けられていたとは、自分は試食を食べなくて良かった、ソーニャさん、何というかもう少しデウッサーデにダメージを与えて欲しかった!!!
『ソーニャのアホーーーー!!!』
ミコトさんの罵声が響く。
皆がソーニャさんの断末魔を聞いているそのとき、ナタナエルさんが叫んだ。