空間転移
空中をゆっくりとオロチの巨体が迫る。
先程の一撃を受けミコトは昏倒していた。
『ミコト殿!』
何度も呼び掛ける声を聞き、ようやくミコトは目を覚ます。
意識を取り戻したその先には巨大なオロチの姿が見えた。
オロチの周囲に光が宿り輝きを増す。
ミコトは攻撃を避けようとするが、ダメージを受けた身体はいうことをきかない。
オロチから終わりを告げるエネルギーが放たれる。
モニターを埋め尽くす光にミコトは思わず目を塞いだ。
『(お父様……お母様……すみません……お役目全う出来ませんでした……)』
身を焼くこの世で最後の音をミコトは聞く。
だが。
業火の音は鳴り止まない。
『(あれ? 生きている?)』
『ミ……ミコト殿……アレを……』
『(アレ?)』
ミコトは眩しい閃光に目を凝らす。
『(届いていない?)』
『(何かに遮られている?)』
オロチから放たれたエネルギーはスサノオに届く前に弾かれていた。
『(巨大な人? 巨大な竜?)』
ミコトは光の中に、スサノオと同じくらいの大きさの巨大な影を見た。
ハッキリとは分からないが巨大な竜のような人のような影だ。
なおも影はエネルギーを弾いている。
『(私を守っている? 他国の柱神か? 添柱か?)』
ミコトは考えを巡らせてみたが思い当たるフシは無かった。