アンギャーーーー!!!!!!
朝の礼拝を済ませ今日一日のスケジュールを確認する、さてと朝食を済ませてくるかな、などと考えながら自室を出て食堂に向かう。
『はあ、はあ、はあ』
『マリア様、いかがなされましたか?』
食堂入口付近で、なぜかマリア様が息を切らして待ち構えていた。
『あ、あ、あ、あんたら、こら! ヤコブ! 昨日なんで私を見捨てたのよ!』
『見捨てた? はて? 人聞きの悪い』
『あんたら! 酔い潰れた私を放って置いたでしょ!』
『放って置いた?』
『だから! なんでSP使って私を運ばないのよ!』
『いやいや、あの状況ではなんとも、それより二日酔いとか大丈夫ですか?』
『二日酔いとかどうでもいいわよ! う、う、うっすら覚えてるんだけど、あいつ、ナカジマ ユウヤにここまで運ばせたでしょ!』
『はい、裕也様に運んで頂きました』
『なんでじゃーーーーーー!!!!!』
マリア様は今日が世界の終わりみたいな表情だ。
『いやその、マリア様ももうお年頃ですし、何というか浮いた話も無いですし、親衛隊とも相談した結果、皆で青春の1ページを演出してみようかと』
『おまえらはアホかーーーーー!!!!!』
マリア様は漫画みたいな表情で怒っている、交通規制したり、電波干渉したり、結構大変だったのに。
マリア様がファビョって喚き散らしていると運の悪いタイミングで小ヤコブが食堂に入ってきた。
『う、マリア様おはようございます、なんか今日は早いですね』
『う! じゃないわよこのハゲ!』
すかさずマリア様は小ヤコブに飛びかかる。
『あんたもグルになって、この!』
シンプルに首絞めてる。
『あっ、うぐ、す、すみません姉さんに指示されて……』
『あっ、そこ、私を売るんじゃない』
『売るって姉さん、本当の事じゃないですかーーーー』
『どうせあんたら写真とか勝手に撮ったりしてるんでしょ! スマホ出しなさいな!』
マリア様は強引に小ヤコブからスマホを奪い取る。
『えっ、あっ、マジですか? 勝手に部下のスマホ弄るとかパワハラですよ』
『五月蝿いハゲ! って、写真アイコンはこれね』
『あーーー、見ない方がいいですよ』
『だから五月蝿いっての! 日付は昨日だからこれね、って、アンギャーーーー!!!!!!』
どれどれと横から覗く、そこには昨日の映像がバッチリ映っていた。
マリア様をおんぶしてテレベ川沿いを歩くナカジマ ユウヤ様の姿。
しかしアンギャーって叫ぶ人初めて見たわ。
『マリア様?』
マリア様はスマホを持ったまま軽く天に召されている、神の国見えてるかな?
『マリア様? 大丈夫ですか?』
反応が無い。
『マリア様?』
『はっ、は、ははははははははははははははあははははっははははっははは』
あ、壊れた。
『何処?』
『えーー、何処とは?』
『だからナカジマ ユウヤよ! 今何処にいるのよ!』
『えーーと、確かソーニャ殿と地上を観光中かと』
『ち、地上ね、分かったわ』
マリア様はふらふらと地上へ向かっていった。
粋な計らいだと思うのだがお気に召さなかったようだ、ふうむ、あと小ヤコブは私を売ったので後でお仕置きしておこう。