ゴラアアアア!!!
『こちらは準備完了です姫様』
右側の映像、青髪の青年が答える。
マリアと同じ服装だ、俺は情報端末のページをめくる、第10使徒ダダイさんのようだ。
『こっちも完了だぜ姫』
左側の映像、赤髪の青年が今度は答える、こちらもマリアと同じ服装の若い青年だ。
第10使徒ダダイさんのページからすぐ次、第11使徒シモンさんのようだ。
さらに全体の映像が切り替わるとそこには2体のロボットが映し出された。
一体は三又の槍を持った青い機体だ。
もう一体は自由の女神が持っているトーチのような物を持った赤い機体。
『あれは?』
『ダダイの乗る添柱ポセイダーオーンとシモンの乗るヘスティアスタです』
添柱、確かスサノオさんのような柱神をサポートする機体だったような……あれ? ミコトさんポセイダーオーンって言ったか?
『ポセイダーオーン? ポセイドン?』
ポセイドンってギリシャの神様だっけ? 確か海の……
『我々12使徒はギリシャの神、オリンポス12神を添柱として使います、元々はオリンポス12神も別の役割があったらしいですが、2000年程前に我々の添柱として造り変えられたそうです』
ペトロさんの説明だが、なんだか複雑な事情がありそうだな。
『添柱ってことは柱神みたいなもんですよね? スサノオさんみたいにその、ポセイドンさんがあの中にいるんですか? 挨拶しといたほうが良いですかね?』
『いえ、添柱は元の人格を有しません、あくまでそのチカラのみを機体にしたものです、そこが5本の御柱と最大の違いになります』
スサノオさんみたいに過去の人物が出てくる訳じゃ無いのか、うーーん残念、ポセイドンさんと話してみたかったな。
ミコトさんの説明が終わるとマリアは立ち上がる。
『ダダイ! シモン! 今回なんであんたら二人で組ませたか分かる?』
『オレ達があんまり仲良く無いからだろ?』
シモンさんはハイハイと言った感じで面倒くさそうに答える。
『姫様、私一人で十分デシメーターの駆除は出来ます、シモンには帰還命令を』
表情をあまり変えず淡々とダダイさんは答える。
『誰が帰るかこのボケ!!!』
『うるさい、私一人で十分だ、貴様などは足手まといになる、今すぐ帰るがいい』
『なんだと!!!』
ウガガガガガガなんて言いながら二人は睨み合っている。
なんか、うん、12使徒のみなさんも色々あるんやなあ。
そうこうしてるうちにポセイダーオーンとヘスティアスタが取っ組み合いを始めた。
『お前こそ帰れ! このネクラブルーが!』
『なんだとこの炉心バカが!』
『ゴラァああああぁぁ!!! やめなさい!』
マリアが映像に向かって叫ぶ。
他の12使徒はみんな呆れ顔だが、なんというか深刻な表情では無い、第2使徒の少女ヤコブさんはモニターすら見ないで別の作業をしている、たぶんこのやりとりはいつものことなんだろう。
『『ゴハアアアアアアアアアアアァァァァァ!!!!!』』
そんな喧騒を打ち消すようにデシメーターが吠えた。
そして………
『『ゴッ!!!!!!!!!!!!』』
あ!
マッターホルンの先が折れた……
轟音を立ててマッターホルンが崩れてゆく。
あの美しかったピラミッド型の山頂部分は土砂の煙で覆われてしまった。
はわわわ、こんなん世の中に知られたら大事ですぜ。
崩れ行くマッターホルンを前に、ふるふる震えながらマリアが叫んだ。
『あんたらがグズグズグダグダしてるからマッターホルン折れちゃッタジャないの!』
『『ひえ!!』』
モニターの中シモンさんもダダイさんも縮こまっている。
『罰としてデシメーターを倒せなかった方は使徒順位ワンランクダウンよ!』
『『なっ?!』』
『さっさと倒しなさい!』
『しょ、承知!』
『こうしてはおれん!』
急に二人は態度を改めてデシメーターへと向き直った、もしかして12使徒って上からランク付けされてんのか?
だとしたらソーニャさんは上から4番目だからかなり偉いのね。
マリアに焚きつけられて二体の柱神はデシメーターへと矛先を向ける。