赤い地平線
赤い地平線――――――
そう赤い地平線から雲が流れて来る。
もの凄いスピードで赤い地平線から流れる雲は天井と床を黒から白へと染めていった。
そのまま反対側の地平へと雲は流れていく。
あっ……あれは……
螺旋階段の色が白から黒へと反転している。
今までは白い螺旋階段が黒い天井に開いた白い渦の中に伸びていたはずだ。
それが今は反対に黒い螺旋階段が白い天井に開いた黒い渦へと伸びている。
『アト……なんなんだこれ……』
アトは黒い螺旋階段に身をまかせ呻くように答える。
『やめろ……別のものまで……開くぞ……』
やめろ?
やめろってどういうことだ?
オレが何かしたのか?
むしろエピゴノスのエネルギーが切れてこうなったんじゃないのかよ……
『『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』』―――――――――――――――――――――――――
なっ? なんだ?
今度は獣の雄叫びが響く。
いや、獣なんて生易しいものじゃない……
聞くだけで魂の底から、命の芯から身を削ぎ落とされるような、その場から動けなくなるような恐怖を感じる咆哮……
ヴゥンンンンンン――――――
『火が……点いた……』
音と共に鳥籠のモニターが徐々に回復していく!
地の底から湧き上がるような低い音と共に、鳥籠のモニターは元の次元の隙間を映し出した!
まだエピゴノスは動くかもしれない!
しかも次元の隙間はモニターが落ちる寸前の状態を維持している!
モニターが落ちてから数分は経っているから、とっくに次元の隙間は閉じていてもおかしくはないはずだ!
まるであれから時間が止まっているかのような状態……
なんだが妙な違和感を感じていると、エピゴノスが鳥籠のモニターに映った。
『なっ……なんだこれ……』