いつもの様に指を鳴らした
今度はエピゴノスを光の矢が襲う。
『うおっ! ちょっと待てーー!!!』
なんとかエピゴノスを飛ばして上空から来る光の矢をかわす。
『こっちの話を聞いてくれ! 富士山の中にデシメーターオロチの本体がいるんだ! 早くそいつを倒さないと大地震が起きて取り返しのつかない被害が出るぞ!』
こちらが必死に訴えかけるとオデッセウスの攻撃がピタリと止んだ。
『デシメーターの本体? 富士山? あの山の中か?』
そう言うとオデッセウスは富士山の方をしばらく眺め。
『大地震か……だがそんなことはオマエラに比べれば大事の前の小事だ』
うっ……嘘だろ……
再びオデッセウスは左腕を前に振り払う動作をした。
キン! キン! キン! キン!
『のわ――――――!!! グッガハッ!!!』
何度目かの光の矢を食らってしまった!
そのまま地面に叩きつけられる。
なんなんだよ……アイツは……
『フン、これ以上はまずいな』
光の矢を喰らい鳥籠の中で倒れたオレの傍らにアトが現れた。
そっ、そうだ! すっかり失念していたけどアトならオデッセウスのことが分かるかもしれない!
『おい! アト! あいつはなんなんだ!』
アトはオレの質問に一切答えない。
モニターの向こうにいるオデッセウスをじっと睨んだままだ。
よく見ればエピゴノスが受けたダメージと同じように、アトの右腕にも何箇所か穴が開いている。
その穴からは緑色の光が漏れ出ていた。
エピゴノスが受けたオデッセウスの攻撃はオレとアト両方の腕にダメージを与えている。
小牧山のときはオレだけが痛いのかと思っていたが、どうやらエピゴノスが受けたダメージはオレとアトの両方に影響を及ぼすらしい。
『おっ? なんだオマエは?』
オデッセウスがアトに気付いたようだ。
『おい、そこの小さいの、オマエがアトか?』
またもアトはまったく答えない。
『おーーい、聞こえてるか?』
オデッセウスが何度か呼び掛けるがアトは無視したままだ。
『おい! このまま倒しちまうぞ!』
アトはオデッセウスの呼び掛けを無視して右手を前に突き出し。
パチン!
いつもの様に指を鳴らした。