一閃!!!
うお! やばい! もう始まっている!
見ればギリギリと両者鍔迫り合いをしている。
鳥籠のモニターに向かって叫ぶ。
『ミコトさん! すぐに加勢します!』
それを聞いたミコトさんは驚いたことに首を横に振った。
『結構です』
『?』
はあ? 今なんと……
慌てて聞き直す。
『あの! ミコトさん! 手伝います!』
それに対するミコトさんの返事はまたも同じく。
『裕也様の手助けはいりません』
ちょちょちょちょ! どうゆーーこと?
さっぱり訳わからん。
『あのーーなんかオレ、気に障ることやりました?』
恐る恐る聞いてみる。
ミコトさんはフッと微かに微笑んだあと、こう言い放った。
『大体分かりましたから』
大体分かった?
『一体全体、何が分かったんですか?』
そう聞き返すとミコトさんは一気にオロチとの距離を取った。
『ですから……』
そう呟くとスサノオさんが構え、そして、
一閃!!!
目にも止まらぬ速さでスサノオさんがオロチを薙いだ。
駆け抜けたスサノオさんの背後でオロチの胴は真横に割られている。
『まったく……姿形は似せても剣はまるで素人ですわ』
ミコトさんがそう言い終わると同時にオロチが爆砕した。
あわわわっ! 凄い! まったく動きが見えなかった。
そうか……実際に剣を扱ったことが無ければ、それはただのフリだ。
安徳天皇の捌きもあくまでも子供とは思えない動きというだけだ、アトの鉄パイプくらい馬鹿げたものでもなければ腕の差になる。
爆炎が収まるとミコトさんは海岸に降りた。
あっ、オレも降りようと思ったが。
アレ? どう降りるんだっけ?
そういえばまともにエピゴノスから降りたこと無い……
『あのぉ……アトさん……エピゴノスからどうやって降りるの?』
『呼ぶ時と同じだ。目を閉じ、降りたい場所をイメージすればいい』
またもイメージか。
うーーん、ミコトさんの隣あたりの海岸へ……
目を閉じイメージする。
エピゴノスの中とは明らかに違う空気の流れ。
恐る恐る片目を開くとそこはさっきの海岸だった。
ほんとスゲーなこれ。
さっきまでエピゴノスがいた空間には今は何も無い。
何回乗っても本当に実感湧かんな。