やめておこう
『暗黒物質って邪悪な物質とかなんですか?』
などとあの時と同じ質問をしてみた。
それを聞いたソーニャさんは腹を抱えて笑い転げ回っている。
対照的にミコトさんは厳しい眼つきで俺を見つめている。
アレレ? ヤバイな……なんか隠してるのがバレたかな?
ミコトさんは少しの間を置いてフッと微笑むと。
『もしこの宇宙が邪悪な存在によって創られたのなら、私達全てを含めて案外そうなのかもしれませんね』
などと子を諭す母親のような口調で答えた。
それを聞いたソーニャさんの回転スピードは増すばかりだ。
『じゃあくっあ…って……ぐうひゃひゃ』
『もう……ソーニャったら笑いすぎです』
『だってぇ……』
『ところでソーニャ、私が留守の間なにか進展はありましたか?』
ソーニャさんはピタリと回転を止めた。
『ステーション9のAMSとハッブル7号機はミコトが黙って居なくなってから、すぐにハサイ先輩達の使用期間に入って研究は特に進んで無いにゃあ』
『ああ、そう言えばハサイ先輩のグループが次でしたわね』
『そうだよ! ミコトは居ないしレポートはまとめなきゃなんないし物凄い退屈だったんだよ!』
ソーニャさんはプンスカ怒っている。
そんなソーニャさんをまあまあとミコトさんはなだめて。
『そうですわね、それではお詫びとして明日はランチを御馳走しますわ』
それを聞いたソーニャさんは目を輝かせた。
『マジで! やったニャ! 学食はナシだにゃよ?』
『ハイハイ、明日は特別仕様のランチを用意しますわ』
ミコトさんはチラリとこちらを見ると。
『裕也様も御一緒願えますか?』
などとモジモジしながら聞いてきた。
『もちろんと言うか、ミコトさんとのランチならむしろ土下座してでもお願いしたいくらいなんですけど、なんでわざわざ確認を?』
『いえ、もしかしたらアト様となにか御予定があるのかもと……』
『いえいえ、全然アトとの予定なんかありゃしませんよ』
ってそういえば、アイツ朝からまったく姿を見かけてないけどどうしたんだろ?
『それでは裕也様、研究室の説明はこのあたりでよろしいかと思いますので次は運動施設の御案内を致します』
『あたいもついていくーー』
とゆーー訳でソーニャさんを加えて俺達は運動施設を目指し1階まで戻った。