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エピローグ&次回予告
く―――
ク――――――
く―――――――――
カモメだろうか?
いや、やはり外見こそカモメのような姿をしているがよく見れば足が4本付いている。
しかしまあ良い天気だ。
『起きたか、ペネロペ』
彼は私より早く目が覚めたようだ。
彼の顔にはまだ旅に出る前の懐かしさがあった。
私は何故か笑いが込み上げてくる。
『そんなに変かな?』
『ふふふ、あれよね、まさか約束した日のままなんてね』
『君もあの日の姿だ』
『そうなんだ? へえ』
太陽に手を透かす。
節くれだったシワだらけのものはそこには無かった。
しかしおかしなものだ、手を透かそうと思った太陽が二つもある。
『約束、守ってくれたのね、貴方』
『ああ、なんとか守れたみたいだな』
彼はそう言って照れくさそうに笑らう。
幸福の時。
そう、本当に神様も律儀なものだ。
アトの世界 第二話 完
次回予告
次なる舞台は中国―――
暗躍する四人組―――
復活する万物を枯らすデシメーター―――
そしてアトの世界より現れるインスペクター―――