武器?
『いたたたたたったった!!!』
差し出した右手に激痛が走る。
どうやら動きと共にダメージもエピゴノスとリンクするらしい……
『アトさん! めっさ痛いんだけど!』
『あたりまえだ、相互作用鏡面粒子砲の直撃だからな』
『なんだよそれ!』
『暗黒物質とかオマエらが呼んでいる物の一種だ』
暗黒物質ってなんか聞いたことあるような。
『邪悪なエネルギーとかそういうの?』
『全然違う』
モニターは圧倒的な光で埋め尽くされている。
右手が痛い! 熱い!
『いたた! これからどうすりゃいいんだよ!』
『アンテナの中心部に発射核がある、それを破壊しろ』
『破壊って! どうすれば!』
『直接打撃を加えろ』
打撃?
打撃って? どうすればいいのか……
考えている間もビームの直撃を受け続けている。
『ウウウッ……』
そろそろ限界だ……吹き飛ばされる……
校舎でもコイツにブッ飛ばされて、また吹き飛ばされるのか……
佐々木なんて真っ二つに……クソッ!
このアンテナのバケモンが!!!
『アト!』
『なんだ?』
『本当にコイツを倒せばみんなを助けてくれるんだな!』
『ああ、そうだ』
なんだかよく分からんがやるしかない!
『今度はオマエが吹っ飛べよ!!!』
オレは無我夢中で左ストレートパンチを繰り出した!
連動したエピゴノスの左ストレートパンチはパラボラアンテナ中心部にヒットする。
鈍い金属音を響かせパラボラアンテナは小牧高校の辺りまで吹っ飛んだ。
『ハアッ! ハアッ! ハアッ! ハアッ!』
右手が焼けるように痛い。
左手も硬い金属を思い切り殴りつけたように痛む。
これがエピゴノスの受けたダメージなのか?
『なあ……アト……あれであのアンテナおとなしくなるのか?』
『いいや……まだだな』
どうすりゃいんだ……
こんな事繰り返してても埒が明かないぞ、何かもっと強力な攻撃は出来ないのか?
『アト! なんか武器ないのか! このエピゴノス!』
アトは人差し指をホッペに当てながら。
『武器~』
いるの? と言わんばかりの顔をしている。
『例えばオマエはどんな武器が欲しいんだ?』
アトに訊ねられるがパッと特別なモノは思い付かない。
『そうだな……剣とかそんなもんだろ』
『剣だな待ってろ』
アトはそう言うとなにやら人差し指を額に当てウーンと唸りだした。
『いくぞ! 受け取れ!』
アトが叫ぶ。
『オゥ!』
こちらも身構える。
その瞬間頭部に痛みが走る。
ゴチン!
『ウグッ!』
真上から棒が降ってきた。
――カラン! カラン! カラン!――――――――――
なんて音をさせながら棒は床に跳ねた。
痛タ――――――――
『絶対ワザとだろ今の!』
『いやいや、受け取れって言ったぞ!』
モニターの中のアトと睨み合う。
まあいいか……
落ちた棒を拾う。
うーーん、どう見ても鉄パイプにしか見えん……
『おーーい、アトさん剣くれって言ったのに……』
『安心しろ、それで大概のモノは切れるし砕ける』
本当か?
テキトーにブンブン振り回してみる。
メチャ軽い……
半信半疑のオレを見ながらアトが口を開く。
『あんまり乱雑に扱うな、その気になればこの星もたやすく砕くぞ』
エ……
今なんつった……
星を砕く……
ちょちょちょ!!! 待てーーーい!!!
慌てて動きを止める。
『マジかそれ!』
『あくまでもその気になればの話だ』
『逆に扱いづらいわーー!』
鉄パイプを見つめる俺……
そんな俺を、口に指を当てながら。
なにが不満なの?
みたいな表情で見つめるアト。
カワイイ顔して……
こっ……この人……限度を知らんとみた!