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第91話 誕生日。
「店長。誕生日おめでとうございます。あ、間違えました。ハロウィンメリー!」
「何もかも違えよ」
今日のシフトは馬鹿と一緒だ。
「店長。質問してもいいですか?」
「どうした?」
「誕生日って何をあげたら喜ばれますかね?」
「へ?」
「もうすぐ誕生日の子がいるんですけど、何も思いつかなくて……」
珍しく普通の質問が飛んできて、対応に困る。というかこいつが他人の誕生日を覚えていることが意外だ。自分の誕生日すら忘れてそうなのに。
「まあ渡す相手によるんじゃないか?」
「えっと人間です」
「ふざけんなよ」
「本当に人間ですって!」
「そういうことじゃねえよ!」
こいつはほんと会話にならないから嫌いだ。
「何をあげたら喜ばれるんでしょうね……」
「せめて何か特徴とか教えてくれ」
「特徴ですか……。うーん……可愛い子です」
「随分アバウトだな……。他になんかないのかよ」
「……たしか女子高生です」
「へぇー女子高生にプレゼントなんかするのか」
「…………あ、後!ふぇーってたまに言います!」
「柚子ちゃんじゃねえか」