第90話 お雑煮。2
「この間の遊園地でもう絡まないでほしいって言ったんじゃなかったのか?」
「……言いましたよ」
「じゃあなんで初詣なんか一緒に行くんだよ。言ってる事とやってる事が違うじゃないか」
「そう言われると何も言い返せないっすけど……これを読んでみてくださいよ」
あかっちが携帯の画面を俺に見せてきた。画面にはメールが映し出されている。
◇
件名:赤坂様へ
本文:絡むなと言われたのにメールをしてしまってごめんなさい……。
この間はありがとうございました。
少ししかお話できなかったけど……凄く楽しかったです。……長い時間一緒にいれて幸せでした。
これからは勝手にお家に行ったり、頻繁にメールを送ったりしません。今まで本当にごめんなさい。
後……赤坂様にはもう一つ謝りたいことがあります。
……私は赤坂様に好きになってもらうまで絶対に諦めません。一方的にめっちゃ絡みます!
すっごく迷惑だと思いますけど、覚悟しといてください!
それでは!!!
あ、よかったら初詣一緒に行きませんか?私はいつでも空いてます!!
◇
「な、なるほど…………こいつメンタル強いな」
「そうっすよね。観覧車の時に自分でも結構きつい言い方したなって思ってたんっすけど……」
「それで押しに負けて一緒に初詣に行ったのか?」
「押しに負けたっていうか……なんか失礼なことしてるなって思って」
「ん?」
「向こうは本気で俺と向き合ってるのに、俺は見向きもしてなかったんで……。実際に会って、ちゃんと喋ってみようと思ったんすよ」
「そうか……」
「ちゃんと喋ってみたら案外良いの子でしたよ。初詣結構楽しかったっす。まぁ……好きになるかどうかは置いといてですけど」
「なるほどな……ま!仲良くしろよ!」
「そうっすね。あ、店長。お雑煮のおかわりいります?」
「おかわりしたら仕事できねえじゃねえか!……まあ食うけどさ」
「結局食べるんすね」
……うさぎ女の思いがあかっちに少しは通じたみたいで何よりだ。