表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/245

第88話 キング。4

「師匠!あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「……あけおめ」


 この間弟子になった他店舗の店長、水川なんちゃらが店にやってきた。話が濃すぎて名前はもう覚えていない。


 新年の挨拶をしに来たんだろうが、呼吸するように前出しができるまで来るなって言っただろ。できるわけないんだから一生来んなよ。


「師匠!聞いてください」


「なんだ」


「以前師匠から頂いたアドバイス『呼吸するように前出しをする』……それが一体どういうことなのか1週間仕事を休んでずっと考えていたんです」


「お、おう」


 ……そんなつまんねえこと考えてないで働けよ。


「……そしてようやく気づくことができました。『呼吸するように前出しをする」とは、いつでもどこでも前出しができるということですよね……?」


「……は?」


「見ててください」


 そう言い、水川なんちゃらが大きく深呼吸し、突如動きだした。


 洗礼された無駄のないリズミカルな動きは、まさに商品がないにも関わらず本当に前出しをしているように思えた。……なんだ……何なんだこれは。……俺は一体何を見せられているんだ。


「ど、どうですか!師匠!!」


「え……あ……えっと……」


 ……いやいやいや。前出しの意味ないだろ。何だよ、このパントマイム。誰が得するんだよ。


「お、お前は前出しの本当の意味を理解していない」


「ほ、本当の意味……?」


「……次会う時に『前出しとは何なのか』考えてこい」


「……わ、わかりました!失礼致します!」


 この課題を与えていくシステムが追々自分を苦しめていきそうな気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ