第84話 たばこ。5
「あけおめ!ハゲうんこ!」
「あけましておめでとうクソガキ」
元旦。たばこボーイがやってきた。年明け早々、悪口の言い合いとかどうなんだろうと思うが、目には目を歯には歯を。俺は年齢関係なく言われたら容赦なく言い返す。
「毎回言おうと思ったが俺のことをハゲっていうな。誤解されるだろ」
「なあなあハゲ!今日はハゲに報告があるんだ!」
「ガン無視かよ。……なんだよ報告って」
「貯まったぜ!10万円!!!」
「……え?」
「何、変な顔してんだよ!貯まったんだよ!」
「……どうせ人生ゲームとかの偽札を持ってきたんだろ?」
「いや!本当だって!ほらこれ!」
そう言い、たばこボーイが封筒を渡してきた。中身を確認すると確かに1万円札が10枚入っている……。こんな大金どこで用意してきた。
「この金はどうやって貯めたんだ……?」
「お母さんに頼んで、今まで貯金してもらってたお年玉を引き出してもらったんだ!今年もらったお年玉と合わせて10万円貯まったんだぜ!」
「な、なるほどな……」
「その金でたばこを売ってくれよ!ハゲ!」
「……売ることはできない」
「なんでだよ!ハゲ!ケチ!カス!」
「……お詫びにこれをやろう」
「これは……?」
「たばこをいっぱい買った人だけがもらえる最高級のライターだ」
「す、すっげー!!!」
「未成年でこんなかっこいいライター持ってるのはお前だけだと思うぞ」
「ただでくれるのか!?」
「俺からのお年玉だ。変なものに火をつけたりして遊ぶなよ」
「ありがとな!ハゲ!!」
ご機嫌で、たばこボーイが帰っていった。
流石に10万円で未成年にたばこ売るわけにはいかないしな。
カートンで買った時に、おまけでもらえるライターなんかで喜んでもらえて何よりだ。