第X話 クリスマス 番外編。2
聖なる夜。
それは大切な人と過ごす、かけがえのない時間。
クリスマス丸一日何の予定もない俺は七海ちゃんに呼ばれ、お家に遊びに行くことになった。
部屋に入ると机の上にはローストチキンやケーキ、手料理とは思えないような豪華な食事が並んでいた。
どの料理も俺好みの味付けで、全部食べたくなってしまう。今日一日でデブになってしまいそうだ。
「あの……サンタさん」
「ちげえよ」
「真っ赤なお鼻の店長さん」
「赤くねえよ」
「じゃあトナカイさん」
「もっとちげえよ!」
「……頑張って作ったんですけど……お味はいかがですか?」
「え?ああ。すっげえ美味いよ。わざわざ作ってくれてありがとな」
「……う、うるさいですっ。とっとと食べてください」
何故か急に顔を赤くする七海ちゃん。部屋が暖かすぎるのだろうか。
「………あ、あの……店長さん」
「どうした?」
「今日ってクリスマスですよね……」
「お、おう」
「店長さんが粗大ごみを引き取ってくれる日ですよね」
「クリスマスをゴミの日みたいな扱いすんな」
「このブラウン管テレビなんですけど……よろしくお願いします」
「マジで粗大ごみじゃねえか」
「私からのプレゼントなんで、絶対に持って帰ってくださいね」
どんな嫌がらせだよ。ちゃんとしたクリスマスプレゼントをもらえるんじゃないかと期待してしまった自分が悲しい。