第72話 ふぇー。13
「これはあくまで推測なんすけど……」
「なんだ?」
「店長の気持ち悪い顔を見ると吐き気を催しておぇーって言うんじゃないっすか?」
「ふぇーから言葉変わってるし、それが理由だとしても嫌だわ!」
「柚子ちゃん、おぇーって言ってみて」
「お、おぇー」
「や、やめろ!柚子ちゃんのキャラを変えるな!」
ふぇーだったらよくわからないから可愛いってなるけど、おぇーって本当にただの嫌がらせじゃないか。
「でもこの考えが一番しっくりこないっすか?」
「まあたしかに……。俺の顔の何が悪いんだ……」
「パーツとバランスじゃないっすか?」
「単純に俺の悪口を言うな!」
「まあでもいいんじゃないっすか?店長の顔さえ見なければ会話できるっていう考えもできますし」
「試してみるか……柚子ちゃん下を向いて」
「ふぇー」
「今日はいい天気だね」
「ふぇー」
「本当だ!会話出来てる!会話出来てる!これは大きな進歩だぞ!」
「店長、会話できてないっす」
「……」
「本当に柚子ちゃんの謎は解明できないっすね……。一歩近づいたと思ったんすけど……」
「もう諦めるしかないってことか……」
「……あのっ!」
柚子ちゃんが珍しく力強く大きな声であかっちに向かって喋り出した。
「……諦めないでください……。私、店長さんとちゃんとお話がしたいです……!」
……前から思ってたんだけど、柚子ちゃんの努力で解決できない問題なのかな。これ。