第71話 ふぇー。12
「ちょっと実験していいっすか?」
「何すんだよ」
「柚子ちゃん、俺の顔を見て」
「え、あ……はい」
「しりとりをしてみよう。りんご」
「ご、ごりら……」
「ラッパ」
「パンダ……」
二人で何故かしりとりを始め出した。これに何の意味があるのか全く持ってよくわからない。
「じゃあ次は店長の顔を見ながらしりとりを続けよう。ダンス」
「ふぇー」
「ダンス」
「ふぇー」
「ダンス」
「ふぇー」
「なるほどね」
「何がなるほどなんだよ!」
嫌がらせのように俺の顔を見るとふぇーっていう。いや、本当にただの嫌がらせなんじゃないのか。
「じゃあ次は俺の顔を見ながら店長としりとりをしてみよう。じゃあ店長やってみてください」
「え、じゃあ……コンビニ」
「ニ、ニンニク……」
「おお?クリスマス」
「す、すずめ」
「おお!!!会話出来ている!!」
文章でのやりとりならできたが、実際に会話ができたのは初めてだ。これは感動。しかしあかっちの顔を見ながらしりとりしてるから違和感しかない。
「これで何となくわかった気がしますね」
「つまり俺はあかっちの顔に整形すればいいってことか?」
「いや、そういうことじゃないっす」