第58話 いじり。
「いらっしゃいませー。あ」
「お客様がいらっしゃいましたよ。おもてなししてください」
「うっせーよ!」
七海ちゃんがお客さんとしてやってきた。休みの日までうちの店くんなよ。
「店長さん」
「どうした?」
「なんで仕事なんかしてるんですか?」
「は?休みじゃねえからだよ」
「私は今から映画館に行くので気分はウキウキですけど、なんで仕事してるんですか?」
「とっとと映画館行きやがれ!」
ここぞとばかりに休みアピールをしてくる。くっそ、休み羨ましい。人件費削減のためにも俺が積極的にシフトに入っているが休み羨ましい。
「映画が始まるまで結構時間があるんです。だから店長さんでもいじり倒して時間でもつぶそうかと思って」
「俺を便利な遊び道具だと思うなよ」
「汚い肉便器?そう自分を卑下しないでください」
「いってねーよ!」
「うわっ!便器が喋った!?ここの店では喋る便器が店員をしてるんですね!」
「俺も暇じゃないんだ!さっさと買うもの買って映画館に行ってくれ」
「つれないですね……」
「うっせーよ、ばーか」
「まあいいです。今日は頼まれてたものを持ってきたんです」
「おお。マジで嫌がらせだけしに来たのかと思ったぜ」
「私もそんなに暇じゃないです。はい、どうぞ」
七海ちゃんから封筒を受け取った。