第51話 たばこ。4
「おい、早くたばこ売れや、はげうんこ!」
「黙れ、ちびうんこ」
たばこボーイが来店してきた。なんだか久しぶりな気がする。たまにはこんなやり取りもいいな……ってんな訳あるか。ガキは草でも食ってろ。
「なんでそこまで売ってくれないんだよ!金ならちゃんと払うじゃん!」
「そういう問題じゃねえんだよ」
「どういう問題だよ!」
「未成年にたばこを売ったら、罰金取られるんだよ」
前にも説明したが、未成年がたばこを買うよりも、未成年にたばこを売るほうが罪が大きい。
「そ、それは知らなかったぜ……」
「そうだ。俺個人としてはお前にたばこを売ってやってもいいが、罰金を取られるのは嫌だからな」
「罰金っていくらぐらい取られんだよ」
「さあ……?前にニュースでたばこを売った店員が罰金10万円とか言われてたような……」
「10万!?……まじかよ……」
「どうだ、たばこを買う気もなくなっただろ」
「……わかった」
「素直で何よりだ」
「……俺決めたよ」
「ん?」
「10万円貯める。俺、10万円貯めてここの店にたばこ買いにくるよ!」
「は!?」
「そうすればハゲにも損がないし、いいだろ!?よっしゃ!頑張って金貯めるぞ!!!」
「え、いやっ!おい!待てよ!」
クソガキを何かを決意したように颯爽と店を出て行った。
クソガキに乗せられた訳ではないが、10万円でたばこが売れるならそのぐらいのリスクは背負っていい気がする。
……いや、待て。違う罪でもっと罰金取られる気がする。