第48話 びこう。6
「あ、解散する流れになったみたいですよ」
「……ふふ。みたいだな!」
「店長さん何ニヤニヤしてるんですか。気持ち悪い」
「いやー?ニヤニヤなんかしてないぞー?まぁーなんつーかあれだよな!恋愛って難しいよな!ははははっ!」
「今警察を呼べば確実に逮捕してもらえそうなんで呼びますね」
「や、やめろ!!ニヤニヤしてるだけで警察なんか呼ぶな!」
「顔に小学生が使ってる防犯ブザーぺろぺろしたいって書いてます」
「お前の想像力のほうが危ないわ!」
「さて、私たちも解散しますか?」
「そうだな。目的は果たしたし」
「ではそうしましょう」
「今日はなんだかんだ言って俺に付き合ってくれてありがとうな」
「べ、別にそんなお礼を言うようなことはしてませんよ……。私も遊び半分で一緒に来ただけですから……」
「まぁ助かったぜ。じゃあまたな!」
「……あの!」
「ん?」
「……ラインを教えてくれませんか?」
「え?なんで?」
「シフトとか聞くときに店長さんの気持ち悪い声を聴きたくないんで」
「なんだよその理由!まあいいけどさ」
……こうして俺と不愉快な仲間達とのデート尾行が終わった。今から考えれば……あの二人が付き合うなんてことはまずないよな。本当に何を心配してたんだか。まぁ終始二人にいじられてた気がするが……それはいつものことか。……そういえばあかっちって今何やってるんだろ?
◇
「もしもし、母さん?さっきから何回も言ってるけどそのぴょんぴょん言ってる子は知り合いじゃないんだ。うん。家に入れなくていいから。なんで俺の住所知ってるのとかいろいろ聞きたい所はあるんだけど、俺の部屋に案内しなくていいから。え?彼女だって言ってる?うん、違うから。ねぇ母さん聞いてる?」