第40話 デート。
「……お待たせしました」
「全然待ってないよ。こんばんは。柚子ちゃん」
「先輩。今は午前11時ですよ?」
「あれ?11時ってこんばんはじゃないの?」
「……ふふっ。先輩って面白いですね」
「そ、そうかな……」
今日は上神先輩に誘われて一緒にご飯を食べに行くことになりました。ちょっと変わった先輩だけど、ユーモアがあって私を笑わせようとしてくれる楽しい方です。でも普段あまり喋ったことがない先輩なので少し緊張します。ちょっとでも仲良くなれたらいいなぁ……。
「それじゃお店に入ろっか……あれ?ちょっと待って」
「……どうしました?」
「インターホンはどこ?」
「……え?インターホンですか?……何故探しているんですか?」
「いやいや、勝手にドアを開けて入るのは失礼でしょ?これは大人のマナーだよ」
「……そ、そうなんですね」
その後約1時間、店の周りにインターホンがないか手分けして探すことになりました。私も先輩も必死になって探しましたが、なかなか見つかりませんでした。
探している途中に真剣な顔で、もしかしたら県外にあるかもしれないという話が出てきて本当にユニークな方だと思いました。
「うーん……見つからないね……」
「……そ、そうですね。ちょっと疲れてきちゃいました」
「ちょっと待ってて。店の人にインターホンがどこか聞いてくるよ」
「わ、わかりました……」
このままファミレスに入ってしまえばいいのに……そう思ってしまう私でした。