第37話 うさぎ。2
「ぴょんぴょん!」
「にんじんなら販売しておりません」
「まだ何も喋ってないぴょん!」
再びうさぎ女が来店してきた。にんじんじゃないならなんだよ。
「それで今回はどういうご用件で」
「今日は紹介してほしい人がいて来たぴょん!」
「え、えっと……?どういうことですか?」
なんでこううちの店に来る客は、基本的に何でもそろってるコンビニに対してないものを求めてくるんだよ。そこまでコンビニ万能じゃねえよ。結婚相談所みたいなサービスやってねえよ。
「昨日ここで好みの男性が働いていたぴょん!だからメアド教えてほしいぴょん!」
「はあ……何か特徴わかりますか?」
「私の好みの男だったぴょん!めっちゃキスしたかったぴょん!おつりもらうタイミングでさり気無くキスしようと思ったぴょん!」
「は、はぁ……」
だめだ。何の情報も伝わってこないし、純粋に気持ち悪い。
「それで誰かわかったぴょん?」
「……わからなかったぴょん?」
「ふざけんなぴょん」
「すいません」
ウサギ語で丁寧に返したつもりが反感を買ってしまった。っつかなんでこんなふざけた喋り方してるやつにふざけるなと怒られているんだ。
「とにかくメアド教えてほしいぴょん!」
「そうですね……他に特徴があればわかるかもしれないんですけど……」
「ぴょん……ぴょん……ぴょん!名札に赤坂って書いてたぴょん!」
「それ早く言ってください」
その後うさぎ女にあかっちのメアドを教え、問題は無事解決した。
……ごめんな。あかっち。
……どんまい。あかっち。